街を歩けば数年前よりも随分と鰻の店が増えたなと、気づかれる方も多いと思います。本誌でもこれまでに老舗店やエリア、ニューオープンなどの情報で紹介したことはありましたが、鰻を特集として扱うのは今回が初めて。取材先を通して個人的な“発見”もありました。本誌の紹介でも触れましたが、昔は半日をかけてのんびりと鰻を楽しんだという風情ある話に惹かれます。周りでは鰻がスタミナ食みたいな意味づけもあって、高級なファストフードのようになったと感じていた中で、旅館やカフェのようなくつろぎの中で食事ができる店があったり、お酒を楽しみながら、あるいはコース料理のメインとして鰻本来の味わいをしっかり楽しめるお店を見つけることができたのは嬉しい発見でした。鰻そのものについても日本の食文化を支える貴重な資源だと再確認することになりましたし、支えるプロの方々の努力も見ることができました。こうして美味しい鰻料理を楽しめる喜びを、誌面を通して共有できれば幸せです。