Team soignerチームソワニエ

特別連載「星野リゾートの温泉旅館『界』で夏の別府を愉しむ」 第5回

TOPICS | 2022.07.25

楽しい時間は瞬く間に過ぎてチェックアウトの時間に。その後向かったのは、宿から車で5分ほどの距離にある、1919年創業の「別府つげ工芸」です。

「界」ではご当地色を重んじており、様々なおもてなしで旅人に貴重な経験を積ませてくれます。そのひとつが「手業のひととき」。地域の文化をつなぐ職人や作家、生産者の方から、技術や舞台裏を見せて頂く、大変貴重なおもてなしです。

「手業のひととき」でこの秋から冬にかけて開催されるのが、「別府つげ工芸」でのご当地体験。
「別府つげ工芸」に到着すると、レトロ可愛い建物に心くすぐられます。こちらでつくられているのが「別府つげ細工」であり、明治から昭和初期にかけて、別府が観光地として栄えた時代に人気を集めた土産品。つげは古来より絆を表す縁起ものとして、夫婦円満や家内安全のお守りとしても重宝されてきたそうです。

今回制作を見学させて頂いたのが「つげ櫛」、つまり髪の毛をとかすブラシですね。こちらは初代から引き継がれている独自の彫刻技術と、透かし彫りの技術を用いたつげ細工であり、かつて界隈に多かった芸子さんにも愛用されていたそうです。


材料となる薩摩柘植(つげ)の素材から、つげ櫛がつくられる様子を見学します。
作業は大きくわけて、丸太のまま送られてくる木を裁断し、板から型をつくってピンを刺していくという工程になります。

まずは土台の部分をつくる作業。素材を切り抜いたままだとガサガサとした手触りなので、ツルツルになるように、何度も何度も磨いていきます。作業は手や目の感覚によるものが大きいので、できるだけ均質になるようとても神経をつかうそう。

続いてはブラシの先になるピンをつくる作業を見学。カットの際は木目や木の性質などを見て判断しながらの、複雑な作業。最初は棒状のものを、きれいに整えて磨き、手触りや髪にあてた時の感覚まで心地良くなるように調整を重ねていきます。

最後はピンを一本一本、土台に刺していきます。湿気が多い時季は木がふくらむなど、季節や気候を見ながらの緻密な作業です。ちなみに工房に現在いらっしゃる職人さんは6人。すべての工程を担当できるマルチな方もいらっしゃるそうで、改めて技術に驚かされますね。
工程が複雑のため、1日頑張っても10本ほどしかつくれないというから、いかに貴重な工芸品であるかが分かります。


土産品売り場では様々な形状のブラシをはじめ、多彩な別府つげ細工が販売されています。
一つとして同じものはなく、旅のお土産はもちろん、大切な人への贈り物にも選びたい貴重なものですね。
幅広いタイプがあるので、ブラシを選ぶ際のポイントとしては、頭皮への当たり心地や髪質、髪の長さ、年代、利き手などに合わせて選ぶのが良いそうです。


気になるお手入れですが、湿気の少ないところに保管するのがおすすめ。ブラシには吟味に吟味を重ねた、食用にもなるほど純粋な椿油が塗りこまれています。そちらもあわせて購入をして、定期的に刷毛で塗ると艶が出てホコリなどが取れやすくなります。また万が一ピンが抜けるなどの破損があっても、工房へ連絡をすれば、メンテナンス対応をしてくれます(有料)。

頭皮のマッサージ効果もあるつげ櫛は、柘植の小さい木目から椿油が少しずつ出るとあって、髪のツヤツヤ効果があるそうです。また自然の木だからこそ木目は時間が経つと経験変化もあり、“自分だけの一本”になりますよ。

「界 別府」では、この一生もののブラシを作る体験も申し込むことができます。体験を申し込んだ方には、客室にはあらかじめ数本のブラシが用意され、実際に使って自分と相性の良いブラシを作ることができますよ。


【今回取材したホテル】
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
TEL 0570-073-011(界予約センター)
公式HP https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaibeppu/
客室数/70室
チェックイン/15:00 チェックアウト/12:00
料金/1泊2食32000円〜(2名1室利用時1名あたり・税・サービス料込み)
 アクセス/JR別府駅より徒歩10分、大分空港より車で約60分

「別府つげ細工職人と行う一生モノのつげブラシ作り」
 期間:2022年9月1日〜2023年2月28日(7日前までの要予約)
 時間:チェックイン翌日11:30〜13:00
 場所:別府つげ工芸 (大分県別府市松原町10-2)
 料金:1名20,000円(税込み・宿泊費別)
    ※プランの種類により5,500円〜13,200円の追加料金が発生します。

特別連載「星野リゾートの温泉旅館『界』で夏の別府を愉しむ」 第4回

TOPICS | 2022.07.24

~清々しくも幻想的な風景~


心地よく眠りについて翌朝は5時に起床。別府湾から昇る朝日が空と海をオレンジ色に染めて、清々しくも幻想的な風景に心癒されます。

大浴場で温泉に浸かって体をシャキッと目覚めさせた後は、7時から湯の広場で行われる「現代湯治体操」へ参加。目の前に雄大な海を望みながら、深呼吸、そして体や筋を思い切りのばす…。なんて爽快で有意義な朝のひとときでしょうか!

昨夜はあれほどお腹いっぱいであったにも関わらず、早起きからの温泉、そして体操を終えると既に空腹です。朝食会場へと足を運ぶと、思わず頬が緩むような繊細で手の込んだ朝食が並んでいます。


写真奥のせいろ蒸しは、 別府の湯けむりをイメージしたもの。
蓋を開けた途端湯気がもくもくと沸き上がります。
すりこぎで胡麻をすって作った「ごまだれ」と、醤油ベースにショウガやネギなどを加えた「りゅうきゅうだれ」の2種類が用意されており、それぞれに異なる味が楽しめました。
旅の朝のお決まりで、お茶碗2杯を頂いたのでした。

幸せな気持ちで朝食会場を後にし、トラベルライブラリーで珈琲&読書タイム。ひと息ついたら、そのまま湯の広場にて催される「別府温泉絞り体験」へ参加します。

「別府温泉絞り体験」は、ご当地文化である豊後絞りを使い、温泉成分による独自の手法で新しい絞りを楽しむ体験。輪ゴムや割り箸を好きなところにくくりつけて、温泉による色の変化で独自の柄や風合いをつくります。

温泉は自然の産物なので、日々色や成分も少しずつ変化します。スタッフの方によると、湯船に注がれる温泉の色も毎日微妙に異なるのだとか。「温泉絞り」も、その日だけの色合いであり、これもまた温泉地の旅の醍醐味なのです。

次回の掲載は7月25日の予定です
続きをお楽しみに♪

【今回取材したホテル】
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
TEL 0570-073-011(界予約センター)
公式HP https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaibeppu/
客室数/70室
チェックイン/15:00 チェックアウト/12:00
料金/1泊2食32000円〜(2名1室利用時1名あたり・税・サービス料込み)
アクセス/JR別府駅より徒歩10分、大分空港より車で約60分


特別連載「星野リゾートの温泉旅館『界』で夏の別府を愉しむ」 第3回

TOPICS | 2022.07.23

~ドラマティック温泉街~

「界 別府」のコンセプトは「ドラマティック温泉街」。夜の帳が降りると、館内の雰囲気は昼間とはがらりと変わって賑やかな別府の温泉街をイメージした装いになります。2022年6月20日から9月末までの間は「ドラマティック温泉街の夏祭り」が開催。夏限定の赤い和紙のちょうちんや賑やかな別府音頭が、どこか懐かしく華やいだ気持ちを運んでくれます。


壁面にお面が飾られた庭園でひと休みをしていると、目の前で流しが繰り広げられて大興奮!


湯の広場では、別府の地獄めぐりをイメージした7種類のカラフルなカクテルが楽しめる「地獄巡りバー」や「地獄ラーメン」などの屋台や、輪投げ、型抜きといった縁日が開かれ、温泉街を“そぞろ歩き”しながらお祭り気分を味わいます。



そして夏祭りのメインイベントが、ご当地の文化を体験するご当地楽「湯治ジャグバンド」。法被やねじりはちまきのスタッフが桶とお湯を使って生み出す独自の音色が会場を包み込み、会場も大いに盛り上がりました。


次回の掲載は7月24日の予定です
続きをお楽しみに♪

【今回取材したホテル】
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
TEL 0570-073-011(界予約センター)
公式HP https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaibeppu/
客室数/70室
チェックイン/15:00 チェックアウト/12:00
料金/1泊2食32000円〜(2名1室利用時1名あたり・税・サービス料込み)
アクセス/JR別府駅より徒歩10分、大分空港より車で約60分

特別連載「星野リゾートの温泉旅館『界』で夏の別府を愉しむ」 第2回

TOPICS | 2022.07.22

~お待ちかねの夕食~

温泉で体を整えた後は、お待ちかねの夕食です。今回頂いたのは、夏の特別会席。
しっとりと静かな半個室で供されるコース料理です。
その中でも、より印象に残った料理をご紹介します。


先付け
「かぼす麺と雲丹のジュレ仕立て」
 その地域ならではの食材や調理法にこだわりながらも、新鮮さや意外性も大切にしているのが、「界」のコンセプトでもあります。「ご当地先付け」は全国の「界」のそんなコンセプトを象徴する料理。別府の伝統工芸である竹細工と小鹿田(おんた)焼きの器が特徴的であり、カボスを用いたジュレと雲丹の組み合わせが印象に残る、コースの皮切りでした。


揚げ物
「鱧の薄衣揚げ 梅肉、たたき海老の新挽き揚げ、野菜の天婦羅」
 「たたき海老の新挽き揚げ」は、たたいた海老、コーン、野菜などを、お米を蒸して乾燥させた粉をつけて揚げたもの。プリプリ、サックリとした食感や野菜の甘みがあわさり、幸せな気持ちになります。肉厚なしいたけの天婦羅は、流石大分の名産と感じる逸品です。



台の物
「豊後鍋 かぼすおろし かぼす胡椒」
別府八湯にあわせて、ヒオウギ貝、豊後鯖、豊後牛、鶏肉、肉厚の椎茸、白菜、クレソン、椎茸の入っただんご麺という、8種類の食材が用意されています。
まずはお出汁の中に、香りづけで美しいカボスの輪切りを10秒ほどくぐらせます。あまり長時間くぐらせてしまうとえぐみが出てしまうのだそう。その後に鶏肉やヒオウギ貝、椎茸などを入れて、たっぷりのカボスおろしやカボス胡椒で頂きます。
きりりとカボスの酸味が利いたおろしもとても美味。爽やか且つしっかりとした旨みのある口福の味でした。

次回の掲載は7月23日の予定です
続きをお楽しみに♪

【今回取材したホテル】
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
TEL 0570-073-011(界予約センター)
公式HP https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaibeppu/
客室数/70室
チェックイン/15:00 チェックアウト/12:00
料金/1泊2食32000円〜(2名1室利用時1名あたり・税・サービス料込み)
アクセス/JR別府駅より徒歩10分、大分空港より車で約60分

特別連載「星野リゾートの温泉旅館『界』で夏の別府を愉しむ」 第1回

TOPICS | 2022.07.21

〜館内にいながら湯のまちを遊び尽くす〜


例年より早い梅雨明けで真っ青な夏空が広がったある日、おんせん県おおいたの湯のまち別府に佇む「界 別府」へ。
実際に宿泊した1泊2日の様子をレポートします。


星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」のひとつが「界 別府」。「界」ブランドの18施設目として2021年7月にグランドオープンを果たした施設です。
建築家・隈研吾氏による設計やデザインは様々なイメージや細工が散りばめられていますが、まず目を引くのがその外観です。ブラウンを基調としながらも上階に行くにつれて淡い色合いに変化しており、様々な文化や温泉からなる別府のまちを象徴しているのだそうです。


館内に足を踏み入れると和紙のちょうちんや石畳の路地が広がり、青々とした別府湾に向かってつくられた足湯が風情を醸し出します。温泉の桶を生かした手湯には蕩々と温泉が注がれ、その音もまた旅情を増してくれます。




今回の客室は11階に備わる温泉付きの特別室。すべての客室からは眼前に別府湾を望みますが、部屋に足を踏み入れた途端に広がる景色には息を呑みます。晴れた日には遠くに四国を望み、客室温泉からも贅沢な景色を堪能できます。



室内の壁は、別府の名所「血の池地獄」の赤から着想を得た柿渋色。ヘッドボードやフットスロー、照明には大分の伝統文化である豊後絞りが配されています。

客室でひと息ついたら、ロビー横のラボで催された「温泉いろは」へ参加。スタッフの方が別府温泉の豆知識や温泉の効果的な入浴法を分かりやすく教えてくださり、手袋をはめてビーカーやスポイトを使いながら、“実験”感覚で温泉ミストづくりを体験することができます。



香りは3種から選ぶことができ、私はラベンダーをチョイス。可愛いボトルに詰めて早速シュッと首に吹きかけると、ふんわりいい香りが漂ってきました。



体験を終えると、旅の汗をさっぱりと流すべく、大浴場へと向かいます。大浴場には四季折々の植物が楽しめる露天と内湯が完備。内湯には「あつ湯」と「ぬる湯」という2つの湯船が備わり、炭酸水素塩泉のお湯はとてもやわらかな浴感でした。

ちなみに、内湯の壁面には臼杵焼きのオブジェが飾られ、蛇口の近くには臼杵焼きのお地蔵様が密かに隠れており、見つけたら幸せになれるとかなれないとか。
そんなエピソードが実は館内にはたくさんあり、スタッフの方が色々な話を教えてくださります。


湯上りには、アイスやドリンクで涼みました。

次回の掲載は7月22日の予定です
続きをお楽しみに♪

【今回取材したホテル】
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
TEL 0570-073-011(界予約センター)
公式HP https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaibeppu/
客室数/70室
チェックイン/15:00 チェックアウト/12:00
料金/1泊2食32000円〜(2名1室利用時1名あたり・税・サービス料込み)
アクセス/JR別府駅より徒歩10分、大分空港より車で約60分