Web限定記事Soigner Selection

飲食店を起点に飲酒運転撲滅を。「飲酒運転撲滅100日チャレンジ作戦」が8月25日よりスタート

イベント | 2026.08.25


8月11日にアクロス福岡で、「飲酒運転撲滅100日チャレンジ作戦キックオフイベント」が開催されました。


これは、福岡県警が県内の飲食店などと協力して取り組む、飲酒運転撲滅のための試みの一つ。
8月25日から12月2日までの100日間、参加する約3500軒の飲食店が利用客への声かけや
啓発ポスターの掲示などを行い、飲酒運転を許さない環境づくりを行います。



この取り組みの背景には、海の中道大橋事故(2006年8月25日)と粕屋事故(2011年2月9日)があります。いずれも飲酒運転によって、尊い命が奪われました。

キックオフイベントでは、こうした悲劇を二度と繰り返さないために、
「私たちに何ができるのか」を一人ひとりが考える時間となりました。


+++


当日は、13時30分にイベントがスタート。

オープニングアクトでは
福岡県警察音楽隊と福岡大学 和太鼓部「鼓舞猿」の皆さんが、
迫力ある演奏を披露し、会場を熱く盛り上げました。





そしてイベント開会。

主賓挨拶として、福岡県警の本部長から、
昨年の飲酒運転検挙状況についての報告が行われました。
2025年に県内で摘発された飲酒運転の件数は3064件にのぼり、
その約半数が飲食店での飲酒後だったといいます。



飲酒運転は、決して「自分だけの問題」ではありません。
お酒を提供する店、同席する人、そしてその周囲にいる人。
それぞれが飲酒運転撲滅への意識を高めることが大切です。



会場では、2006年の海の中道大橋事故で3人の子どもを亡くした母親・大沼かおりさんが出演する啓発動画も上映されました。

事故から20年が経った今も、家族が抱える悲しみは消えることがありません。
自身も被害者でありながら、子どもを助けられなかったことに強い罪悪感を抱き、
涙ながらに語る姿から、飲酒運転が一瞬の出来事では終わらず、
そのあとの人生にも深い傷を残すものだということを改めて考えさせられました。



続いて行われたのは、
飲酒した人が自転車で帰ろうとするケースを想定した「通報訓練」です。



実際に通報する際のポイントは以下の通りです。



人物の特徴や服装、見かけた場所、進行方向など、
できるだけ詳しい情報を伝えることがポイント。

そして、今回の訓練で特に印象的だったのが、
実際に飲酒している場面を見ていなくても、
「飲酒運転ではないか」と疑いがあれば通報していいということ。

「もしかしたら違うかも」と迷ってしまいそうですが、
その一報が誰かの明日を守ることに繋がるかもしれません。



イベント後半には、
エフエム福岡ラジオパーソナリティ・中島浩二さんと、
トリゼンホールディングス株式会社 代表取締役会長・河津善博さんを迎え、
トークセッションが行われました。
司会のエフエム福岡アナウンサー・愛智望美さんも加わり、
どのような行動が効果的かを具体的に考えていきます。



話題になったのは、飲食店での声かけ。



盛り上がっている席で、飲酒運転する可能性があるかを店側から聞くことは、
お客様の楽しい時間に水を差してしまうようで難しいーーと、現場の率直な悩みを河津さんが語りました。
一方で、トリゼンホールディングスでは、
「安全に帰ってもらうまでが、飲食店の役割」という考えを社員だけでなく、
アルバイト・パートにも共有し、積極的に声かけをするようにしているそうです。

中島さんからは、「代行を呼びましょうか」と相手に判断を委ねる言い方ではなく、
「代行、呼びますね」と、こちらから提案するのも一つの方法では、という意見も出ました。



相手を責めるのではなく、「あなたのことを思って言っている」という気持ちが伝わる声かけだと、より相手に響くのかもしれません。


トークセッションでは、
中島さんが飲酒状態体験ゴーグルを着用する場面もありました。



足元がおぼつかず「真っ直ぐ歩くことができない」と中島さん。
そんな状態で運転をするなんて、考えるだけでとても恐ろしいことです。



声かけは飲食店だけに委ねるものではありません。

一緒にお酒を飲んでいる友人や家族だからこそ、
強い言葉で制止できることもあります。

「飲んだら乗らない」だけではなく、「乗ろうとする人を止める」。
当事者だけでなく、周囲の人も高い意識を持つことが大事です。



+++



最後に、今回のイベントを共催した「一般社団法人 福岡県料飲業生活衛生組合連合会」の会長 竹野孔さんにお話を伺いました。



ーー飲食店を経営する会長の立場から、今回のイベントについての思いをお聞かせください。
私は、居酒屋の「竹乃屋」を中心に飲食店を運営しています。
以前は駐車場完備の郊外型店舗を展開していたのですが、
海の中道大橋事故をきっかけに売り上げが半分になったことから、
飲酒運転をしていた人が多かったという現実を思い知らされ、とてもショックを受けました。
自分のお店が飲酒運転のもとになってはいけないと
事故以降は駅立地の都心型店舗へ切り替えていきました。

そうした経験もあり、自分の店はもちろん、
我々団体に加盟する店から飲酒運転を出してはいけないと強く感じています。

このイベントは昨年から福岡県警と共に始めました。
まずは100日間。その次は200日、300日、1年、2年…と続けながら
一人ひとりの意識を少しずつ変え、飲酒運転を許さない取り組みとして根付かせていければと思っています。


ーー実際にどのような方法で飲酒運転撲滅を呼びかけていますか?
標語やポスターを全組合店に配布し、
お客様の目に届く場所に掲示するようにしています。
私の店舗ではタッチパネルを導入していますので、
そこにも飲酒運転への注意を促す画面が表示されるようにしています。

一人ひとりの意識を変えていくことが重要だと思いますので、
やり続けること、言い続けることが何より大切だと考えています。



+++



今回のイベントでキーワードとなったのが、

今日、あなたが止める1台が、誰かの明日を守る。

今後、飲酒運転に繋がりそうな場面と出合ったとき、
どうか勇気をもって、制止する一言をかけてあげてください。
そのたった一言が、誰かの明日を守るかもしれません。

飲酒運転を「しない」だけでなく、「させない」ために。

県民一人ひとりが強い意識をもち、飲酒運転撲滅を目指していきましょう。