Editor's Report編集部だより

2018.07.19

第31回 H.B.A.CLASSIC 創作カクテルコンペティションチャンピオンシップ&カクテルフェスティバル2018 レポート

研ぎ澄まされたと感性と技術を競う、ホテルバーメンたちの祭典。

第31回 H.B.A.CLASSIC 創作カクテルコンペティションチャンピオンシップ&カクテルフェスティバル2018 取材・文/江月義憲 撮影/長友典人


全国の予選を勝ち抜いてきた、21名の精鋭が福岡に集う。

多くのゲストを前に鮮やかな手さばきでシェイカーを振る、バーテンダーにとっての晴れ舞台。
2018年7月1日、「第31回 H.B.A.クラシック創作カクテルコンペティションチャンピオンシップ&カクテルフェスティバル2018」が開催された。
1972年に始まった歴史ある大会だが、九州で開催されるのは今回が初めて。会場の「ホテルニューオータニ博多」には、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)全国12支部の予選を勝ち抜いてきた出場選手21名をはじめ、歴代のチャンピオンや日本全国のホテルからバーメンが集まった。
九州、沖縄支部からは5名の選手がエントリーし、第13回大会(1984年)倉吉浩二氏(現BAR倉吉)以来の優勝を目指した。

バーには大きく分けて、いわゆる街場のバーとホテルのバーがある。
バーテンダーに求められる技術的なスキルに変わりはないが、大きく異なるのはその客層だ。
街場のバーの多くは常連客に支えられているが、ホテルバーは圧倒的に旅行者や観光客が多い。
2020年東京五輪に向けて訪日外国人旅行者も年々増え続けており、ゲストに対するホスピタリティ、まさに「おもてなし」の心がより求められている。

今回のコンペ出場資格も、HBA認定資格の「シニアバーテンダー」以上に限られており、その試験では酒類に関する知識はもちろん、マナーやプロトコール(国際儀礼)の知識や日本文化への理解、英語力も求められている。さらには知識や技術にとどまらず、身だしなみや所作の美しさなども審査の対象になるという。
決勝大会に進出できるのは、そうしたプロフェッショナルばかりが参加する予選を勝ち上がってきた精鋭揃いだ。

「ホテルニューオータニ博多」には、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)全国12支部の予選を勝ち抜いてきた出場選手21名をはじめ、歴代のチャンピオンや日本全国のホテルからバーメンが集まった。

知識、技術、メンタリティ、そして感性が試される。

競技は4つの部門からなり、前日にゼネラルナレッジ(筆記試験)とブラインドテイスティングの審査が行われた。当日は900人を超える大観衆の前で、レギュラーワーク、創作カクテルコンペティションの公開審査が行われ、その総合得点によってチャンピオンを決定するというレギュレーションだ。

まず13時過ぎからスタートしたのが、今回から新設されたレギュラーワーク部門。5種類の異なるカクテルの注文を受けたという想定で、スピードと技術、カクテルの完成度を競う。
出題された5種類のカクテルはどれもスタンダードなものばかりで、それこそ日々のレギュラーワークの中で毎日何杯も作っているものだろう。
しかし、審査員を目の前にし、900人もの観衆から凝視される中で冷静に普段通りの仕事をするのは難しい。ステージ上に設えられたバーカウンターもいつもとは勝手が違う。
氷の扱い方や酒を注ぐ順番、ステアやシェイクの技術などの総合的な技量に加えて、どんな状況でも平常心で対応できるメンタリティの強さが試された。

5種類の異なるカクテルの注文を受けたという想定で、スピードと技術、カクテルの完成度を競う。
競技は、クライマックスの創作カクテルコンペティションへと向かう。
創作カクテル部門で審査されるのは、そのコンセプトとネーミング、色合いやデコレーションなどのビジュアル、そして何よりも味と香りの完成度の高さだ。
カクテルのレシピは無限といっていいほどバリエーションがあり、なおかつ定番と呼ばれる基本的なレシピはすでに出尽くしている。
そんな中でいかに個性的なコンセプトを提案し、ベースとなる酒を中心にした材料の組み合わせによって、今までになかった一杯を編み出すことができるか。この難題にチャレンジするバーテンダーというのは、とてつもなくクリエイティブな職業だ。

競技では3人の選手が1組になってステージに上がり、それぞれが渾身の創作カクテルを作る。
カクテルの世界にもトレンドがあり、今回目についたのは国産クラフトジンをベースにしたものだった。
それ以外にも国産リキュールを作った作品も多く、日本人バーテンダーが創造した日本発の新しいスタンダートカクテルの誕生を予感させられた。

競技では3人の選手が1組になってステージに上がり、それぞれが渾身の創作カクテルを作る。
すべての競技が終了すると、会場は一転してカクテルフェスティバルに。
歴代のHBAチャンピオンが自らシェイカーを振るう名作カクテルや賛助会企業が出展する銘酒がふるまわれ、参加した淑女紳士たちは文字通り、最先端の洋酒・カクテル文化に酔いしれた。

歴代のHBAチャンピオンが自らシェイカーを振るう名作カクテルや賛助会企業が出展する銘酒がふるまわれ、参加した淑女紳士たちは文字通り、最先端の洋酒・カクテル文化に酔いしれた。

栄光のレッドジャケットは、北海道代表の八重樫猛さんに。

レギュラーワーク部門で高い技術を見せつけた九州支部代表の増田鉄平さん(バー倉吉)が最優秀賞を受賞。 そして、いよいよ審査発表の瞬間。
各部門の入賞者が発表される中、レギュラーワーク部門で高い技術を見せつけた九州支部代表の増田鉄平さん(BAR倉吉)が最優秀賞を受賞。
さらに総合部門でも、会場となったホテルニューオータニ博多の広津佑平さんが準優勝に輝き、九州のバーテンダーのレベルの高さを証明した。
見事に総合優勝グランプリの栄冠を勝ち取ったのは、北海道支部代表の八重樫猛さん(オーセントホテル小樽)。
5回連続出場の末に辿り着いた高みに、HBAチャンピオンだけに与えられるレッドジャケットに袖を通すと、「仲間達のおかげでここまで諦めずにやってこられました」と、感無量のコメント。こうして2年に1度のホテルバーメンズによる祭典は、感動の中で幕を閉じた。

第31回 H.B.A.クラシック創作カクテルコンペティションチャンピオンシップ結果

総合優勝 グランプリ(観光庁長官賞)
八重樫猛(オーセントホテル小樽) 八重樫猛(オーセントホテル小樽)
総合準優勝
広津佑平(ホテルニューオータニ博多) 広津佑平(ホテルニューオータニ博多)
総合第3位 ■最優秀技術賞
中山陽子(ホテルグランヴィア京都) 中山陽子(ホテルグランヴィア京都)
レギュラーワーク最優秀賞 ■ギャラリー賞
増田鉄平(BAR倉吉) 増田鉄平(BAR倉吉)
ゼネラルナレッジ最優秀賞
関根広樹(ロイヤルパークホテル) 関根広樹(ロイヤルパークホテル)
ブラインドテイスティング最優秀賞
佐藤大介(ホテルメトロポリタン) 佐藤大介(ホテルメトロポリタン)