ハレの日からいつものちょっと贅沢まで、フランス料理の幅は広く、私たちの生活に身近になりました。
これは、フランス料理とその文化を日本に根づかせたいと願った先人たちの努力あってこそ。そんな日本のフランス料理界の牽引役のなったシェフたちと若手世代とをつなぐ会員組織、それが「クラブ・デュ・タスキドール」です。
2019年、アラン・デュカス氏、上柿元勝シェフ、三國清三シェフが中心となって発足。当初は20人だった会員は現在は70名を超え、上柿元勝シェフや河野透シェフをはじめ、地元で、または東京で活躍する九州出身の料理人も多くいます。
「クラブ・デュ・タスキドール」の活動は、フランス料理の普及と技術の伝承が目的。料理研修会や講習会、人材育成、食育活動、フランスや日本全国の食材の発掘や普及活動を通じての地域おこし、食文化の発展と地産地消の推進にまで及びます。公式ウェブサイトやYouTubeチャンネルも開設し、料理に関する情報発信も始まったばかりです。
コロナ禍だったこともあり、いよいよこれから本格始動となる「クラブ・デュ・タスキドール」。2022年5月27日(金)、「メゾンプルミエール」(東京・恵比寿)を会場に、総会・懇親会が開催されました。
当日、まず行われたのは、写真撮影。白衣、タブリエを着衣しての撮影は、全国からやってきた34名が集結。錚々たるシェフが揃った様子は、いかにこの会が貴重なものであるかを感じるのに十分すぎるほどでした。
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前列左から(敬称略):鎌田雅之、中村勝宏、辻芳樹、上柿元勝、三國清三、アンドレ・パッション、小峰敏宏、北村竜二
二列目左から:大山圭介、井村貢、高良康之、酒井 淳、佐々木康二、渡辺雄一郎、河野 透、太田昌利、日髙良実、山口雄三、政岡壽浩
三列目左から:渡辺利亮、橋田幸秀、石井剛、秋元さくら、善塔一幸、築館幸伸、横田哲也、北田雅史、池内渉、松本美保
四列目左から:今西洋平太、豊田光弘、久保田剛史、新井栄次、鹿島匡人
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その後、ディプロム授与式、総会、休憩を経て、晩餐会形式の懇親会が開催されました。
上柿元勝会長から、開会の辞が発せられ、金子原二郎農林水産大臣とアラン・デュカス氏によるビデオメッセージ、公益財団法人いしかわ農業組合支援機構参与の新谷和幸氏からの来賓挨拶の後、アンドレ・パッション氏と中村勝宏氏による乾杯で、70名が集った会場は一気に盛況となります。
7コースの食事は、「クラブ・デュ・タスキドール」会員の4人のシェフが手がけた、夢の競演となりました。
(ちなみにこの日のメニューは、石川県;公益財団法人 いしかわ農業総合支援機構の協賛によるものでした)
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アミューズ:能登とり貝と加賀太きゅうりのマリネ 加賀れんこんのピュレと共に
by「ヴィラ・デ・マリアージュ」井村貢シェフ
前菜:阿岸の七面鳥胸肉とアスパラガスのテリーヌ ミディトマトのサラダ添え
by「ヴィラ・デ・マリアージュ」井村貢シェフ
スープ:輪島から直送されたアラのスープ サフラン風味のイタリア米と共に
by「ソラノホテル」鎌田雅之シェフ
魚料理:石川産 真鯛のマリニエ風 〜小松市のトマトと能登ワイン シャルドネで仕上げたソース〜
by「リーガロイヤルホテル」太田昌則シェフ
肉料理:能登牛フィレ肉の桜風味パネ 高農園の根菜のソテー添え トリュフソース
by「モナリザ」河野透シェフ
デザート:和梨“加賀しずく”と能登ロゼワインのスープ仕立て ヨーグルトのアイスクリーム添え
by「ヴィラ・デ・マリアージュ」井村貢シェフ
ミニャルディーズ:能登ワインのギモーヴ、フィナンシェ、トリュフショコラ
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会も終盤になると、「クラブ・デュ・タスキドール」の活動をサポートしてくれる賛助会員を紹介。続いて、理事会員が登壇、紹介と挨拶がなされ、大円団の中、閉会となりました。
総会・懇親会では、過去「ソワニエプラス」にご登場いただいたシェフの姿もちらほら。この会のために時間をやりくりしていらしたようです。
「クラブ・デュ・タスキドール」は、コロナなど社会状況を鑑みながら、年に3〜4回研修会・講習会が行う予定です。場所は、地域の食材や料理人とのふれあいも目指して、各地で実施したいとのこと。
福岡をはじめ、九州も候補地となっています。
エリアや世代を超えて、タスキをつなぐ活動を通じて、日本のフランス料理、ひいては飲食界や農業、食文化の活性化を目指す「クラブ・デュ・タスキドール」。これからの福岡・九州、そして日本の飲食界のますますの活性化に大きく貢献してくれることでしょう。
「クラブ・デュ・タスキドール」ウェブサイト
https://tasukid-or.com
取材・文/羽根則子