新緑が爽やかで、どこへ行くにも気持ちのいい季節になってきました。そんな季節に誘われて足を延ばしたのは門司港。
門司港駅の2階に佇む『みかど食堂 by NARISAWA』のリニューアル記念イベントに参加するためです。
まずは『みかど食堂』について、改めてご紹介します。
『みかど食堂』は、大正3年、門司港駅が開業したと同時に駅舎の2階で営業をスタートさせた高級洋食屋。
豪華で瀟洒な空間ではソースポットでのカレーが供されたり、フィンガーボールが登場するなど、
何ともハイカラな食事風景が繰り広げられていました。
歴史ある老舗レストランでしたが、関門海峡の開通により客足が減り、昭和56年、惜しまれながら閉店。
しかし門司港駅がおよそ6年間という大規模な改修工事を終え、大正時代の姿に復元された2019年3月、
改めて門司港のシンボルとして復活を果たしたのです。
それでは、『みかど食堂』をプロデュースする料理人・成澤由浩氏についてご紹介します。
東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフである成澤氏は、“イノベーティブ里山キュイジーヌ”という独自のジャンルを切り拓いた料理人。
料理界のアカデミー賞と呼ばれる「The World 50 Best Restaurants」において2016年、世界8位に輝き、
2018年、国際ガストロノミー学会でアジア人初の国際グランプリ受賞など、華々しい経歴を誇る世界トップクラスの料理人です。
イベント時は厨房に立ちながらも料理を自らサーブしてくれた成澤シェフに、今回のリニューアルへの思いを伺いました。
コロナ禍により休止していたディナー営業(当面は土日祝日のみ)を再開するにあたり、
メニューをしぼってより内容を凝縮させ、以前よりさらにクオリティーを高めたのだと教えてくださいました。
今回頂いたコースはこちらです。
「稚鮎と桜」(スペシャル一皿)
「NARISAWA」で提供されている一皿。こちらはこの日だけの限定メニューでした。
煎り酒を用いたソースからは、桜の香りがふんわり漂ってきました。
「春菊と白子筍のカプチーノ仕立て チーズの香り」
春菊の爽やかさとほろ苦さが豊かに広がります。
白子筍はとても柔らかく甘さがあります。
中にはフランも入って上品な味わいです。
「海の幸と春野菜のカクテル」
目にも美しいカクテルに気分が上がります。
こちらに使用されているのはすべて九州産の食材。
下関の紫ウニやヤリイカ、そら豆、アスパラガス、マイクロトマトなどたくさんの食材が繊細な美味しさを奏でていました。
「アジフライと蟹クリームコロッケ」
洋食の要素をもつ料理も登場します。
北九州市で著名なパン屋「GRAND AMOUR(グランドアムール)」が焼いたパンを使った自家製パン粉が特徴。
半分以上は蟹という蟹クリームコロッケの“蟹感”たるや。
春キャベツのコールスローやJR九州が生産を手がけている卵を用いたタルタルソースと一緒に頂きました。
「活〆ヒラメのブイヨン仕立て」
鳥のブイヨンはやさしい味わい。
添えられたローズマリーもいい仕事をしています。
「黒毛和牛ハラミステーキと花山椒」
牛肉のブイヨンと一番だしなどを用いた和風ベースのソースに、花山椒が奥ゆかしく味を重ねていました。
「黒毛和牛ハンバーグ」
サーブの方にすすめられ、思わず大きなポーションをお願いしてしまったハンバーグ。
ギュギュッと和牛の肉が詰まっており、贅沢な一品でした。
「神戸ビーフカレー」
スパイシーでちょっと懐かしさのある美味しさです。
「懐かしのプリンとあまおうのアラモード」
昔ながらのプリンですが、クリーミーでスイーツ好きの心をしっかりつかんでくれます。
やっぱりデザートは別腹ですね。
「八女茶と小豆の最中」「ハニー珈琲」
お茶菓子もしっかりと存在感があり、ハンドドリップのハニー珈琲がまた贅沢です。
門司港らしいレトロな空間や、折り目正しい接客もご馳走です。
繁桝(八女市)の日本酒やブルゴーニュ シャルドネなど、ペアリングも提案してくれました。
門司港駅の駅舎内とアクセス良好な『みかど食堂 by NARISAWA』。
爽やかな昼間のランチも良いですが、しっとりとした雰囲気のディナータイムも、ちょっとした非日常気分を味わえますよ。
取材・文/三浦翠 撮影/武井メグミ
■今回取材したお店
みかど食堂 by NARISAWA
福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31 JR門司港駅2F
TEL 093-321-8321
月・木・金曜
ランチ 11:30~15:00(LO14:00)
土・日祝日
ランチ 11:30~15:00(LO14:00)/ディナー17:00~20:00(LO18:30)
定休日 火曜・水曜
※今回ご紹介したディナーコースは1人15000円(税サ込)のコースになります。
ホームページ https://www.mikadoshokudou.jp/