味なプチ旅AJI na puchi TABI

週末日帰り旅のススメ 味なプチ旅

第二十二回

〈筑後七国 PART2〉
福岡県 八女市・みやま市・広川町

うららかな季節に目指したのは、筑後に眠る七つの物 。
のびやかな平 が続く道をドライブしていると、
窓の外に通り過ぎる田んぼや畑、白壁の町並み。
のどかな風景に、アクセルを緩めて鼻歌を歌いたくなる
“よかとこ”をぐるりと旅しよう。

取材・文/三浦翠  撮影/竹内さくら

矢部川の菜の花と桜
矢部川の河川敷には、春になると菜の花が咲き る。川上の宮野公園・べんがら村から千間土居公園までは桜も植わり、時季になると一帯がピンクと黄色に染まり圧巻。

「筑後七国」とは、九州新幹線筑後船小屋駅を中心とした5市2町(柳川市、八女市、筑後市、大川市、みやま市、大木町、広川町)のこと。昨年本誌9・10月号で紹介した第一弾に続いて今回巡ったのは、みやま、広川、八女の3エリアだ。
「まちの大きさがちょうど良いんです」「歴史のある酒蔵があって野菜も果物もたくさん 」「水が美味しいですね」とは、取材先の人々の口からこぼれたこの土地の魅力だ。店に立つ人は、聞けばほとんどが筑後七国出 。自然豊かな心地良い環境に思い入れをもち、大らかにもてなしの心で訪れる人を えてくれるのだ。
爽やかな風薫る芽吹きの季節に誘われ、この温かなまちを旅してみよう。忘れられない、美味しいワンデイトリップになるはずだ。

じっくり楽しみたいいちおしスポット

ゆったりとした空気に身を委ね土地の美味に舌鼓を。

工房我楽堂 こもれびcafe とことこ 住所:福岡県みやま市山川町清水1305 電話番号:0944-67-0103 営業時間:11:00~OS15:00 定休日:水曜 席数:30席 クレジットカード:可 QRコード決済:一部可 喫煙:禁煙 駐車場:50台 マルゲリータ1300円、ランチ(おまかせ ・カレー・パスタ)各800円( ※ランチは木、金、土曜のみ)

家具工房「我楽堂」に併設されたカフェは、かつて家具の漆を塗る部屋として使われていた空 。天井が高く開放的で、どっしり据えられた一枚板のテーブルがアトリエのような世界観を描く。心地良く響くジャズやオールドミュージックに包まれて頂けるのは、イタリア産の素材と地野菜を用いた薪窯ピザやランチ。「我楽堂」には空間全体をプロデュースする家具作家・橋村時生さんの作品が置かれ、オーダーメイドの相談にものってくれるので覗いてみて。

❶薪窯で焼き上げた「やさいピッツァ」 1500円 。❷みやま柳川ICから車で5分ほどの場所ながら、雑木林や竹林に囲まれ日常を逃れた別世界。❸「コーヒー」(茶菓子付き・600円)。体にやさしい素材を用いた焼き菓子は熊本県宇城市の「Area51 Foods」のもの。❹「我楽堂」にて談笑する家具職人の橋村さん。一点ものの家具の魅力を教えてくれる。
八女福島 置屋 茶と器 ねじ / okiya galerie 住所:福岡県八女市本町58 電話番号:0943-24-5858 営業時間:11:30~17:00(予約をすれば17:00~19:00は閲覧可) 定休日:火曜、ほか不定あり クレジットカード:不可 QRコード決済:不可 喫煙:禁煙 駐車場:5台(ao cafeのPを利用) 真鍮カトラリー2000円~、茶筒5000円~

白壁が続く八女福島の街並みから一本路地を入った閑静な場所に佇むのは、かつて芸妓さんの置屋だった建物。大正時代の柱や梁を残しつつ珪藻土や漆喰といった自然な素材で仕上げた空間に、温かな趣が宿る。器やギャラリーの店として新しい息吹を注いだのは、すぐ近くの「八女福島券番 ao cafe」のオーナー矢部秀成さん。長年かけて人脈を築いた、心酔する作家たちの陶器やガラス、真鍮を手に取って眺めて、ゆるりと幸せな時間を過ごそう。

❶1階は全国の作家の器や雑貨が並ぶ。2階と離れもあり、今後はワークショップやギャラリー、貸部屋など多目的な空間づくりを視野に入れている。この春にはbar&喫茶も誕生予定。❷原聡子さんのカップ&ソーサーは4500 円。下岡由枝さんによる平皿は4015円。❸矢部さんと奥様の智佳さん。

こだわりの一品

キラリと光る食材とたっぷりの愛情が、逸品を生む。

パティスリーカフェ pousser 広川店 住所:福岡県八女郡広川町新代1349-10 電話番号:0943-24-8757 営業時間:11:00~18:00(ランチ11:30~OS14:30) 定休日:水曜 席数:22席 クレジットカード:不可 QRコード決済:一部可 喫煙:禁煙 駐車場:13台 まかないランチ1480円、長崎牛あらびきハンバーグランチ1650円

パフェの主役となるイチゴは近くの「広川いちご園」で栽培されたもの。オーナーの濱崎未千子さんはここのイチゴと出会ったことで3年前に現在の場所へ店を移転させたほどで、生産者とシーズンごとに品種や量を相談しながら“美味しい旬”を大切にスイーツ作りに臨む。濱崎さんはパティシエとしてだけではなく、レストランやバーなどでも経験を積んだ料理人。食材選びから店づくりまで広い視点で手がけており、食べる人を想う信念が捧げられている。

❶自家製グラノーラや「茶でたまご」を用いたカスタードクリーム、木いちごソースなどが層になった「いちごとミルフィーユのスペシャルパフェ」(1705円)。❷❸店内は大きく2つの空間に分かれている。テイクアウトも可能。❹久留米と広川で計3店舗の飲食店を経営するオーナーの濱崎さん。