第三十回
福岡から車で約1時間半の距離に位置する長崎県松浦市。
松浦が誇る海の恵みといえば、水揚げ量日本一を誇るアジだ。
昨今「アジフライの聖地」として盛り上がりを見せ、
揚げたての美味しさを目当てに、遠方からの観光客も増加中。
親しみあるメニューにそそられて、アジフライ巡りに出掛けよう。
取材・文/生野朋子 撮影/中西ゆき乃、北山雄司
松浦は海に囲まれた潮香る街。島が浮かぶ湾内で獲れる湾内アジと、対馬海峡から五島灘海域の海流にもまれた湾外アジ、その両方が集まる市場は、アジの水揚げ量日本一を誇る。刺身で食べられるほどに新鮮なアジを揚げる「アジフライ」は、この街では当たり前の美味しさだったが、わざわざ食べに来る価値がある松浦グルメとして広く知れ渡ったのは、2019年の市長による宣言から。「松浦アジフライ憲章」を掲げ、松浦市がアジフライの聖地であることを宣言したのだ。さまざまな飲食店が処理の仕方、パン粉やソースに工夫を凝らして味わいを追求。スイーツやグッズなどにも広がりを見せ、街を挙げて盛り上げている。他にもサバやマグロ、ブリなど海の幸が豊富なので、お腹を空かせて出掛けたい。
日本初の屋内施設が誇る、絶品アジフライを求めて
市場直結だからこそ、鮮度は言わずもがな。特に4~8月に獲れる100g 以上のマアジは「旬あじ」と呼ばれ、脂がのった肉厚の美味しさが自慢だ。そんな旬の美味しさを存分に楽しんでもらおうと生まれたのが、「旬あじ定食」。半身はふっくらフライに、半身はプリプリの刺身で、まるっと1尾分を贅沢に。どちらも身の詰まった豊かな食感で、口の中いっぱいに広がる幸せを感じよう。
海の幸に、スイーツも素敵なお土産見つかります
創業100年の『福井製菓店』が手掛ける焼きドーナツは、その名も「お菓子なアジフライ」。ベースはプレーン、チョコ、イチゴ、バナナ、レモン、抹茶、オレンジ、コーヒー、キャラメルの9種で、さらにチョコやクランチでソース・タルタル・ニラソースを模した3種のトッピングが施されている。甘いお菓子もまさかのアジフライ。松浦ならではのお土産として、喜ばれること間違いなし。