かつて炭鉱のまちとして日本の近代化を支えた飯塚市。
いまも街の至るところに炭鉱遺構が残されており、その歴史を物語っている。
気になるスポットを巡りながら、美味しい料理に舌鼓――。
飯塚の魅力再発見の旅を始めよう。
取材・文/淺原麻希 撮影/目野つぐみ
今回の目的地は、プチ旅では初となる筑豊エリア。そのなかでも福岡県のほぼ中央に位置する飯塚市は、福岡都市圏、北九州都市圏、筑後地区のいずれからも車で60分ほどで行ける、気軽な日帰り旅にはぴったりの場所だ。更に、南北には遠賀川、東は関の山、西は三郡山地と、自然にも恵まれており、リフレッシュできる環境が広がっている。また、石炭の産出地として栄えたことから、炭鉱跡やボタ山、炭鉱王が暮らした邸宅など、歴史的文化財がいまなお多数点在。炭鉱遺構を巡りながら、歴史や文化に触れるのも飯塚の旅の醍醐味と言えるだろう。お腹がすいたら話題のベーカリーレストランや鰻専門店へ。この時季だけの景色も楽しみのひとつだ。
地元で人気のパン屋さんが
ベーカリーレストランに
親と子でつくり上げた、新生『菜の実』へ
今年の1月、地元の人に愛され続けてきた「ぱん工房 菜の実」が27年の歴史に幕をおろした。そして6月、息子である坂本幸太さんが店主となりベーカリーレストラン『菜の実』をオープン。レストランに併設した形で「ぱん工房 菜の実」も再出発を果たした。
「親の店を継ぐなんて、最初は考えてもいなかったです」と幸太さん。修業先である鎌倉のイタリアンで一緒に働いていた奥様からの「地元でお店を出したら?」という一言で、急に道が開けたと振り返る。父親が焼くパンと、幸太さんの得意なイタリアンを提供できる場所。そうして行き着いたのがベーカリーレストランだった。ランチコースは、地元の生産者から仕入れた無農薬野菜を盛り込んだ前菜や、トマト・オイル・クリームの3種類から選べる週替わりパスタ、「ぱん工房 菜の実」のパン盛り合わせなど、価格以上の満足感が得られる充実した内容。調理は幸太さんが一人で行っているため、時間に余裕をもって訪れたい。
パワーアップした一太郎へ
新鮮な魚介が揃う『一太郎』食事処だけでなく直売所もあり飯塚の旅には外せないスポットだ
地元の人なら知らない人はいないだろう。それほどまでに連日多くの人で賑わう、食の複合施設『一太郎』。敷地内には、鮮魚や野菜、惣菜が並ぶ直売所、行列必至の回転寿司店に加え、今年の7月に鰻専門店もオープンした。宮崎県産の「和匠うなぎ」を炭で素焼きしたあと、秘伝のタレにくぐらせながらじっくり焼き上げる鰻は、皮はパリッと身はふっくらジューシーな仕上がり。うざくや肝焼きで一杯いただくのも乙だ。
続きはソワニエVol82にてご覧ください