味なプチ旅AJI na puchi TABI

週末日帰り旅のススメ 味なプチ旅

第三十二回

福岡県 飯塚市

かつて炭鉱のまちとして日本の近代化を支えた飯塚市。
いまも街の至るところに炭鉱遺構が残されており、その歴史を物語っている。
気になるスポットを巡りながら、美味しい料理に舌鼓――。
飯塚の魅力再発見の旅を始めよう。

取材・文/淺原麻希 撮影/目野つぐみ

旧伊藤伝右衞門邸
麻生、貝島、安川の「筑豊御三家」に続き、炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衞門の本邸。本邸は国の重要文化財に、池を配した広大な回遊式庭園は、国の名勝に指定されている。
住所:福岡県飯塚市幸袋300
TEL:0948-22-9700
時間:9:30~最終入館16:30
定休日:水曜(祝日の場合開館)
駐車場:129台
入館料:大人310円、小中学生100円

今回の目的地は、プチ旅では初となる筑豊エリア。そのなかでも福岡県のほぼ中央に位置する飯塚市は、福岡都市圏、北九州都市圏、筑後地区のいずれからも車で60分ほどで行ける、気軽な日帰り旅にはぴったりの場所だ。更に、南北には遠賀川、東は関の山、西は三郡山地と、自然にも恵まれており、リフレッシュできる環境が広がっている。また、石炭の産出地として栄えたことから、炭鉱跡やボタ山、炭鉱王が暮らした邸宅など、歴史的文化財がいまなお多数点在。炭鉱遺構を巡りながら、歴史や文化に触れるのも飯塚の旅の醍醐味と言えるだろう。お腹がすいたら話題のベーカリーレストランや鰻専門店へ。この時季だけの景色も楽しみのひとつだ。

地元で人気のパン屋さんが
ベーカリーレストランに

親と子でつくり上げた、新生『菜の実』へ

菜の実 住所:福岡県飯塚市潤野1311-1 電話番号:0948-28-8841(夜は要予約) 営業時間:【菜の実】[一部]11:00~13:00[二部]13:15~15:15/18:00~23:00【ぱん工房 菜の実】10:00~18:00 定休日:火曜 席数:14席 クレジットカード:夜のみ可 QRコード決済:不可 喫煙:禁煙 駐車場:25台 【ディナー】おまかせコース6600円

今年の1月、地元の人に愛され続けてきた「ぱん工房 菜の実」が27年の歴史に幕をおろした。そして6月、息子である坂本幸太さんが店主となりベーカリーレストラン『菜の実』をオープン。レストランに併設した形で「ぱん工房 菜の実」も再出発を果たした。
「親の店を継ぐなんて、最初は考えてもいなかったです」と幸太さん。修業先である鎌倉のイタリアンで一緒に働いていた奥様からの「地元でお店を出したら?」という一言で、急に道が開けたと振り返る。父親が焼くパンと、幸太さんの得意なイタリアンを提供できる場所。そうして行き着いたのがベーカリーレストランだった。ランチコースは、地元の生産者から仕入れた無農薬野菜を盛り込んだ前菜や、トマト・オイル・クリームの3種類から選べる週替わりパスタ、「ぱん工房 菜の実」のパン盛り合わせなど、価格以上の満足感が得られる充実した内容。調理は幸太さんが一人で行っているため、時間に余裕をもって訪れたい。

店内の設計・内装は、『菜の実』の近くにあるフレンチ「コトツキ、」を手がけた、木工作家・鈴木利和さんが担当。各テーブルから、幸太さんの調理している姿が見える。
前菜は、白インゲン豆とタコのカラスミ和え、自家製サルシッチャのピーマン詰め、マッシュルームのキッシュなど9種。
❶「ぱん工房 菜の実」では、米粉のフォカッチャやグルテンフリーの食パンなど約40種類を用意。❷木製のテーブルや豆電球、動物のオブジェなどが調和した、居心地のいい空間。❸料理はすべて「ランチコース」(2200円)一例。この日のトマトパスタは、ボロネーゼ。❹じゃがいもの冷製スープ。❺オレンジのカタラーナ。デザートは通常、パティシエである奥様が担当。

パワーアップした一太郎へ

新鮮な魚介が揃う『一太郎』食事処だけでなく直売所もあり飯塚の旅には外せないスポットだ

一太郎 住所:福岡県飯塚市鯰田1646-43 電話番号:0948-22-6611(ほとめき市場 一太郎) 営業時間:【ほとめき市場 一太郎】10:00~18:30【回転寿司 一太郎】11:00~OS14:30/17:00~OS21:00(土日祝日は11:00~OS21:30)【鰻一太郎】11:00~OS14:30/17:00~OS20:00(土日祝日は11:00~OS20:00) 定休日:月曜(ほか月2回程度火曜) 席数:【回転寿司 一太郎】200席【鰻一太郎】45席 クレジットカード:不可 QRコード決済:不可 喫煙:禁煙 駐車場:100台 【回転寿司 一太郎】平日ランチ限定 一太郎御膳2178円 【鰻一太郎】せいろ蒸3410円

地元の人なら知らない人はいないだろう。それほどまでに連日多くの人で賑わう、食の複合施設『一太郎』。敷地内には、鮮魚や野菜、惣菜が並ぶ直売所、行列必至の回転寿司店に加え、今年の7月に鰻専門店もオープンした。宮崎県産の「和匠うなぎ」を炭で素焼きしたあと、秘伝のタレにくぐらせながらじっくり焼き上げる鰻は、皮はパリッと身はふっくらジューシーな仕上がり。うざくや肝焼きで一杯いただくのも乙だ。

❶❷7月20日に開店した「鰻一太郎」。店内はテーブル席のみ。❸200席を備える「回転寿司 一太郎」。❹「鰻一太郎」の看板メニュー「うな重(松)」(3980円)。山椒をかけて味変するのもいい。❺「ほとめき市場 一太郎」のウリは、近隣の市場で毎朝仕入れる鮮魚。❻❼「回転寿司 一太郎」の「生マグロの大トロ」(352円)と「金目鯛」(424円)。