第二十八回
福岡からもっとも近い本州の隣県である山口県の下関市。
関門トンネルに続いて本州と九州を結ぶ自動車道として架けられた関門橋は、今年開通50周年を迎える。
レトロな建物が残る港町の風情から美しい海沿いの風景まで、多彩な魅力を持った下関を訪ねてまわりたい。
取材・文/江月義憲 撮影/中西ゆき乃、平川雄一朗、恵良範章
源平合戦の壇ノ浦の戦い、幕末期における奇兵隊結成や下関戦争など、しばしば日本史に登場する山口県下関市。古くは長門国の国府が置かれ、大陸との交流拠点でもあったことから大いに栄え、現在も山口県最多の人口を擁する中核都市となっている。さらには2005年に旧豊浦郡4町(菊川町、豊田町、豊浦町、豊北町)と合併し、旧下関市の都市部に加えて緑豊かな山なみと、日本海の美
しい海岸線が広がるエリアまで市域が拡大。おでかけスポットとしての魅力がさらに高まった。
今回は門司から関門橋を渡った入口となる下関市街を起点に、城下町長府、豊かな自然に恵まれた菊川町、豊田町、豊浦町、豊北町の多彩なスポットをめぐるプチ旅を提案。独自の文化が息づく、下関の魅力に触れてほしい。
フレッシュないちご狩りと、歴史ある建物での抹茶体験
約7000平方メートルの広大なビニールハウスで、よつぼし、はるひ、すず、やよいひめ、桃薫、エンジェルエイト(白いちご)など多彩な品種のいちご狩りが体験できる観光農園。ハウス内では1時間いちごが食べ放題で、練乳のサービスがあるのもうれしい。収穫したいちごは100g200円で持ち帰ることができ、パック入りいちごの購入だけでもOK。いちご狩りの期間が終了した後は、8月頃からミニトマト狩りも始まる。
長府毛利家14代当主・毛利元敏公が明治36年(1903年)に建てた邸宅。格式のある武家屋敷造りの母家に池泉回遊式庭園などを備え、明治天皇行幸の際の行在所にもなった。一部の部屋は当時のまま残され、書院の間では庭を眺めながら茶を喫することができる。抹茶とともに供されるのは下関の老舗「松琴堂」の和菓子。伊藤博文公が名づけたといわれる阿王雪を使った菓子は、口の中で溶けていく。