第二十四回
電車や車でのアクセスが良く、気軽に足を延ばせる小郡市。
だからこそ見逃しがちで、じっくり巡ったことがないという人も多いはず。
今の時期は、風鈴祭りが開催されていて、お出かけにもってこい。
居心地のいい隠れ家カフェやショップも訪ねて、最後は美味しいスイーツ&パンを購入し家路につこう。
取材・文/淺原麻希 撮影/松隈直樹、目野つぐみ
今年、市制施行周年を迎えた小郡市は、西鉄天神大牟田線、甘木鉄道の路線に加え、鳥栖JCTも隣接する交通利便性の良さから、周辺都市のベッドタウンとして発展をとげてきた。
西鉄沿線には新興住宅地が広がるものの、少し車を走らせるとそこはのどかな田園風景。
開発された土地でありながら自然も感じられるエリアとして、ファミリー層を中心に年々注目を集めている。
最近オープンした、若者向けのカフェやショップも気になるところだが、今回は静かな場所でひっそり営業する隠れ家的な店を中心に旅先を選んだ。
なかには家事や子育てと両立する女性店主の店もあり、平日のみや予約制といった制限も。
それでも足を運びたいスポットばかりなので、営業日を狙って計画的に小郡旅を堪能してほしい。
家に持って帰りたい、とっておきの一品に出合える。
住宅街の中にひっそりと佇む小さなショップ。店に足を踏み入れると、スモークツリーや紫陽花、ミモザなど季節の花を中心に数え切れないほどのドライフラワーが目の前に広がる。まるで異世界にトリップしたかのような光景だ。『moritaba』のドライフラワーは、植物のありのままの姿を維持するため、薬品を使わず自然乾燥にこだわる。また、オーダーアレンジだけでなく、1本から購入できるのもポイント。飾り方に困ったら近くのスタッフに相談してみよう。
美味しい食事と、朗らかな店主に会いに行こう。
自宅の一室に店を構えて今年で10年。つい最近まで看板はなく、知る人ぞ知るカフェとして静かに、しかし着実にファンを増やしてきた。異国を思わせるようなヴィンテージ風の店内は、店主・manaさんの構想を再現した造り。日々の喧噪を忘れるほど穏やかな時間が流れており、心がほっと落ち着く空間だ。「ランチは開けるときにワクワクしてもらいたいので、あえてインドの弁当箱でお出ししています」。そこにはほっこり優しい味のおかずたちが待っている。
自宅でじっくり味わう旅の思い出。
元々はパティスリーとして開業したが、一つのものに特化しようと2015年にショコラトリーに移行。世界のトップパティシエたちに愛されるフランスのヴァローナ社のチョコレートを主に使用した、約50種類のボンボンショコラを手がけている。シンプルなミルクやビターから、生姜や大葉、羊羹などを取り入れた和テイスト、スパイスで香り付けたもの、ナッツで食感を出したものまで個性豊かに揃う。4~10月は併設する喫茶室で、ショコラやオリジナルケーキがいただける。