第三十四回
うららかな春の陽気に誘われて、目指すは水郷・柳川。
今の時季は市内各所に「さげもん」が飾られており、町を散策するだけでも心が弾む。
お腹がすいたら人気のカフェや食事処へ。美しい景色と美味しい料理が、旅をよりよいものにしてくれる。
取材・文/淺原麻希 撮影/目野つぐみ
「御花」で見られる「さげもん」。一針一針、丁寧に縫い上げた手作りの小物には、亀は長生き、ネズミは子沢山など、それぞれに意味が込められている。
柳川の春の風物詩といえば、女の子の初節句の際に雛壇と一緒に飾られる吊るし雛「さげもん」。江戸時代末期、お雛様の代わりに古着の端切れで作った小物を柳川まりと共に飾ったのが始まりと言われており、縁起のいい鶴や亀、海老などの小物には、子どもの健やかな成長を願う親の思いが込められている。そして現在も続くこの習わしを、観光客にも知ってもらおうと始まったのが「さげもんめぐり」。毎年2月上旬から4月初めまで、市内各所に色とりどりのさげもんが飾られ、町を華やかに彩る。期間中は週末を中心に、「おひな様水上パレード」や「流し雛祭」といったさまざまなイベントも開催予定なので、事前にチェックしておくといいだろう。
今度の休みは、煌びやかなさげもんが揺れる春の柳川へ。きっと思い出深い旅になるはずだ。
築約100年の歴史ある建物で、あま~いひととき
メイン観光地の沖端エリアにある、カフェ併設のスイーツショップ。以前は、京町で営業していたが、2012年に現在の場所へ移転。柳川市民から“町のケーキ屋さん”として、長く愛され続けている。
甘い香りに満たされた店内には、季節の果物を使ったケーキや、地元食材を取り入れた焼き菓子など、多彩なスイーツがずらり。特に今の時季は、柳川産のあまおうを用いたスイーツが充実しており、カフェメニューのパフェ「あまおうスペシャル」を求めて訪れる人も。甘酸っぱい旬の味を凝縮した贅沢な一品をご賞味あれ。
また柳川へ足を運びたくなる、選りすぐりの品をご紹介
お土産探しに迷ったら『柳川よかもん館』へ。朝採れ野菜や果物のほか、柳川ブランド認定品、地元の飲食店が手がける加工品など、柳川ならではの商品がバラエティー豊かに揃う。「今の時季は、柳川の生産者さんが育てたあまおうがイチオシです」と店長の古賀加代子さん。フレッシュなあまおうは、家庭で味わうのはもちろん、大切な人への贈り物としても喜ばれそうだ。同館は、買い物スペースだけでなく、観光案内所とフリースペースも併設。日本一といわれる長さ4mの巨大さげもんも展示されているので、お見逃しなく。