第二十五回
岡垣町のキャッチフレーズは〝ウミガメもかえる町〞。
自然に恵まれたこの場所は、人だけでなくアカウミガメにとっても大事なふるさとだ。
今回は定番スポットと、地元の人が薦める隠れ家的な店をピックアップ。
せっかくなら晴れの日をねらって、海沿いのサイクリングも一緒に楽しもう。
取材・文/淺原麻希 撮影/武井メグミ
福岡県の北部、福岡市と北九州市の中間に位置する岡垣町は約32000人が暮らす、遠賀郡で一番人口の多い町。北部はアカウミガメが産卵に訪れる三里松原海岸が広がり、南西部は300〜400m級の山々が連なる、まさに山と海に囲まれた自然豊かなエリアだ。丘陵地ではびわやみかん、ぶどうといった果実栽培が盛んで、四季折々の果物が楽しめることでも知られている。
岡垣の自然を体感したい人は、海辺の自転車専用道を走るサイクリングがおすすめ。潮風を受けながらの自転車旅は爽快で気持ちがいい。お腹がすいたら、地元の魚やジビエがいただける食事処へ向かおう。ほっと和むカフェや神社仏閣にも足を延ばして、時間が許す限りこの町を遊び尽したい。
5月15日にオープンした休憩施設。JR九州の車両をはじめ、数々の受賞歴を持つ水戸岡鋭治氏が総合デザインを担当。
世界に一つだけの器作りやお点前体験も
今年3月にオープンした『とねりこ村』は、陶芸、茶室、アトリエ、カフェなどがあり、様々な手作り体験ができる施設。メインは陶芸で、予約時に「椿窯」か「逍山窯」を選び、手捻りやろくろでオリジナルの器を作ることができる。ほか、京都の抹茶を自分で点てて味わうお点前体験も好評。普段着で気軽に学べるため、陶芸と合わせて挑戦してみよう。今後はカルチャースクールが開講し、さらに体験メニューが充実する予定なので、そちらもお楽しみに。
山の幸・海の幸、どちらもお任せあれ
「ぶどうの樹」グループが運営する『鮨屋台』は、目の前に水平線が広がるカウンターが特等席。そこで職人が一貫ずつ丁寧に握ってくれる、江戸前ならぬ“ 波津前鮨”がいただける。魚は、地元の波津漁港や鐘崎漁港で水揚げされたものが中心。醤油をつけずにそのまま食べられるように、梅肉ジュレやたまねぎ醤油、おろしポン酢などをのせたオリジナルのネタも味わえる。美味しい鮨はもちろんのこと、窓の向こうに見える穏やかな景色もまた、思い出に残るご馳走だ。