第三十五回
交通アクセス良好なベッドタウンと、「平尾台」をはじめとする大自然が共存する『小倉南区』。
福岡市内から1時間ちょっと、ドライブやハイキングで清々しい初夏の自然に触れれば、心身ともにリフレッシュできそうだ。
取材・文/瀨下和歌子 撮影/竹内さくら、平川雄一朗
「北九州空港」や「北九州モノレール」を有し、ベッドタウンとして栄える『小倉南区』。一方で、山間部には「合馬のたけのこ」で名を轟かせる合馬地区、中央部には日本三大カルストの一つ「平尾台」が広がり、大通りを少しそれるだけで出合える美しい自然が、訪れる者を魅了する。
初夏、青々と茂る新緑に包まれた「平尾台」は、ハイキングのベストシーズンを迎えている。標高300メートル以上、風になびく草原の中に点在する、羊たちの白い姿を覗かせるような石灰岩の「羊群原」が最大の見所だ。
散策でお腹が空いたら、住宅街の穴場や地元の人から愛される人気店へ。喧噪を逃れた道原地区のカフェでは、山々の美しさや川のせせらぎに抱かれる、豊かな時間が過ごせるだろう。
車で山道を上ること約10分、そこには無数の石灰岩と野の緑、青い空のコントラストが織りなす、感動の大パノラマが広がっている
フランス・ボルドーのサンテミリオンの丘を彷彿させる「平尾台」に魅了され、オーナーの宮木秀和さんがブドウ栽培を始めたのは2009年のこと。土地を知り、天候を読み、丁寧に育て上げたブドウを使う「平尾台ワイン」は、雄大な「平尾台」を思わせるスッキリとした優しい味わいだ。「日本産のワインはどんな料理にも合いますよ」とソムリエ資格を持つ宮木さん。遠くの山々まで望む風光明媚な農園で、“根っからのブドウ好き”と語る宮木さんの話に耳を傾ける時間もまた格別だ。
穏やかな川と美しい山々に囲まれた、のどかな景色に癒やされる
小川が流れる山裾に、築180年を超える古民家を利用した、台湾茶と中国茶を提供するカフェがある。店内には山々を望む畳の間をはじめ、愛犬と一緒に寛げるテラス席や子連れに嬉しいベビーゲート付きの個室も完備。三煎、四煎…と味わい深いお茶を楽しみながら、時を忘れて寛ぎたい。