第二十五回
抜けるような青空に、威風堂々と連なる山々、そして、牛や馬が草をはむのどかな草原。
車窓一面に広がる、絵画のような風景に胸が高鳴る。
旅のお目当ては、自然の恩恵をたっぷり受けて育ったあか牛。
福岡から車で2時間足らずの北阿蘇では、地元民も唸るあか牛グルメを気軽に味わうことができる。
日帰り旅で気に入ったら、宿泊して北阿蘇の魅力にもっと触れよう。
取材・文/岩﨑洋明 撮影/松隈直樹
小国町、南小国町、産山村の3町村で構成される北阿蘇。大分県由布市から続くやまなみハイウェイを走ると、阿蘇五岳やヒゴタイに彩られた丘など、阿蘇のシンボリックな景色が目に飛び込む。 あか牛が放牧された草原もまた、阿蘇に来たことを実感させる光景のひとつ。大自然のなかで育った子牛は、やがて熊本が誇るブランド牛として日本全国に流通する。赤身中心の肉質は、健康志向が高まる昨今のニーズにぴったり。イノシン酸などの旨味成分と適度な脂肪分を含んでおり、あっさりとしていながらもジューシーだ。 北阿蘇では、そんなあか牛を扱う飲食店が至る場所で営業している。ステーキや焼肉、丼など多彩な料理が揃うので、食べ比べてお気に入りの一軒を見つけよう。
誰かに自慢したくなる感動が待っている
やまなみハイウェイ沿いのドライブインに併設された展望レストラン。目の前に広がる雄大な景色が最高のスパイスに。「あか牛ローストビーフ丼」は、濃厚な味わいの赤身と、爽やかなレモンステーキソースがマッチ。温泉卵を崩して食べると、ぐんとまろやかになる。彩りを添える地元の野菜が名脇役。
座敷に腰を据えると、“ 小国富士” こと涌蓋山が正面に。小国杉が茂り、バランを彷彿とさせるその稜線に店の名前が結びつく。のどかな山里の風景とともに味わえるのは、生産者から直接一頭買いしたあか牛と小国豚の料理。1日30食限定の「あか牛焼き肉定食」は、脂の質がさっぱりとしており何切れでもいける美味しさだ。また、あか牛のステーキは、お好みで焼き加減を調整できるセルフスタイル。強火でさっと焼いて、ジューシーな味わいを存分に楽しみたい。手ぶら利用可能なBBQコーナーも人気。