第三十六回
江戸時代、熊本と小倉を結ぶ豊前街道の宿場町として栄えた山鹿市。
歴史を感じる美しい町並みや山鹿温泉、平山温泉などが、訪れる人を癒やしの非日常へと誘う。
取材・文/瀨下和歌子 撮影/竹内さくら
福岡県と熊本県との県境にある山鹿市は、福岡市中心部から車で約1時間半とプチ旅にぴったりのスポット。熊本県を代表する夏祭りの一つ「山鹿灯籠まつり」でその名を知る人も多いだろう。
山鹿のメインストリートである豊前街道には、国指定重要文化財の芝居小屋「八千代座」や九州最大級の木造の温泉である「さくら湯」など古い建造物が立ち並び、山手の平山地区では、美人の湯として知られる平山温泉で温泉巡りが楽しめる。また、西日本一の生産量を誇る「やまが和栗」を使ったスイーツや新店のグルメ、多様なお酒も味わっておきたい。二度三度と訪れたくなる魅力満載の山鹿市で、歴史ロマンと最新グルメに浸るディープな旅を満喫しよう。
江戸時代からの古い町並みが残る豊前街道には、雑貨店や飲食店など、町歩きにぴったりの店があちらこちらに。
豊前街道の外れに、雑貨、洋服、器、食品など山鹿や熊本の手仕事品を揃える小さな店がある。「心惹かれるものだけを集めました」と店主の中村京さん。山鹿灯籠の和紙を用いたアロマディフューザーやモビールは、灯籠師の夫・潤弥さんが手がけたもので、和紙ならではの優しい風合いが心を打つ。「山鹿灯籠民芸館」や「大宮神社」にも、潤弥さんの作品や奉納灯籠が展示されている。
温泉が点在する平山地区で人気を集める、ランチにぴったりの2店をピックアップ。
オーナーの松岡静也さんは、「安心できるものを子どもに食べさせたい」と8年前に無添加などにこだわった加工肉の製造をスタート。2022年には自家製のハムやソーセージをトッピングに使った、ピザの専門店をオープンした。
ふっくらとした高加水のピザ生地の上に乗るのは、自慢の加工肉に、地元産を中心とした新鮮な野菜たち。食べ応えのあるボリューム感に加え、身体思いの優しい味わいで魅了する。2人以上で来店し、ピザとグリルメニューをシェアしていただくのがおすすめだ。特に肉汁溢れるソーセージのグリルは是非もの。