大人の遠足OTONA no ENSOKU

週末日帰り旅のススメ

大人の遠足

第二十一回

大分県
国東市・豊後高田市

古来より神と仏の里として、
独自の信仰文化が息づいてきた国東半島。
神社仏閣が点在する山深い地には厳かな雰囲気が漂い、
神秘的な空気に惹かれて移住する作家やアーティストも少なくない。
今回は豊かな自然に寄り添う“アート”に注目しながら、
この半島の魅力に触れてみたい。

取材・文/三浦翠  撮影/紅葉谷昌代

太陽と坐る
木村崇人氏が手がけた、1対の向日葵のオブジェ。1本は太陽に向かって伸び、1本は枯れて頭を垂れている。作品が大地に作る影に座り周囲を眺めると、普段とは異なる景色の移り変わりや昆虫、草花の発見など、新しい視点に気づかせてくれる。 枯れた向日葵はたくさんの種を蓄え、やがて芽を出し、再び花を咲かせるだろう。そんな生命の循環にも思いを巡らせて。

神仏習合の発祥の地とされる国東半島には風光明媚な景色が広がり、豊かな自然とともに歴史を紡いできた。この地で活動する多くの作家たちに加え、〝芸術の地”としての存在をさらに色濃くしたのが、2014年の国東半島芸術祭。芸術祭を皮切りに国東市と豊後高田市には、世界で活躍する著名なアーティストの作品が設置されてきた。
今回の遠足では、昨年3月にお目見えした作品を中心に、半島をぐるりと一周。アートや芸術というと少々堅く聞こえるかもしれないが、いずれの作品も国東半島の風土や自然から着想を得ている。のんびりドライブしながら寄り道をしても構わない。気に入った景色があれば、時間を気にせずぼんやりして欲しい。日常では出逢えない風景が五感にやさしく響くはずだ。

国東半島のアート

光や海、木々の美しさとアートの共鳴を、五感で感じてみて。

不均質な自然と人の美術館 住所:大分県豊後高田市見目4060(長崎鼻リゾートキャンプ場内) 電話番号:0978-23-1860(豊後高田市観光まちづくり(株) 営業時間:10:00~16:00(3月~10月は~17:00) 定休日:火~木曜(祝日の場合営業)※3月~10月は木曜 料金/大人:700円、中学生以下:300円

そもそも自然は刻一刻と姿や形を変える不均質なものであり、すべてが一瞬しか出逢えない風景だからこそ感動をもたらしてくれる。そんな思いをもとに、テクノロジーを生かして変化する長崎鼻の自然と触れ合うことができる美術館。

「太陽と月の部屋」「海の部屋」「森の部屋」という3つのゾーンで構成されており、不思議な体験が待っている。anno lab制作。

秘密にしておきたい名店ランチ

大分におけるインドカレーのパイオニアと、風情あふれる古民家を愉しむ。

インドカフェ・チャイハナ 海花 住所:大分県豊後高田市臼野3332-1 電話番号:0978-53-5754(3日前までの要予約) 営業時間:11:30~17:00 定休日:月曜(祝日の場合翌日) 席数:6席 クレジットカード:不可 QRコード決済:不可 喫煙:禁煙 駐車場:6台 おまかせランチ1500円

オーナーの瀬口彰治さんは、カレーの道に飛び込み50年近くになる熟練。「東京のインドカレー専門店で働きながら、店が終わるとインド出身のシェフの家へ遊びに行っていたんです。そこで本場の家庭のカレーを学びました」。つまりベースになっているのは、リアルなインドの家庭料理。ごくシンプルな種類に抑えているスパイスは、配合や加えるタイミングこそ重んじるべきところ。鼻から抜けるスパイスの豊かな風味と舌に心地よい旨み、後に残る複雑な香りのどれもが秀逸で、本場の味でありながら日本人が率直に美味しいと感じられる瀬口ワールドを体感したい。

❶❹料理は「おまかせランチ」(1500円)のみ。トマトとニンニクをベースにしたラッサムスープ(もしくはムルガターニスープ)から始まる。カレーは日替わり。サモサやバジャ、アチャールやチャパティ、デザートもセット。インドでは各家庭に伝わるヨーグルトがあり、瀬口さんも仕込んでいる。❷瀬口さんと奧様のゆみさん。まだ大分に多国籍料理の店が根付いていなかった40年前から専門店を始めた。❸昭和18年に建てられた瀬口さんの実家は郷愁を誘う。