2017年の福岡のグルメシーンを振り返り、昨年の傾向や押さえておきたいキーワードを〈ソワニエ〉的に読み解いてみた。
昨年の外食シーンをみてみると全体的に「カジュアル化」傾向だったように思える。居酒屋からさらにカジュアルな印象の「大衆酒場」や「立ち呑み」が台頭し、大盛況。フレンチやイタリアンも、カウンターなどの肩肘張らない空間で本格志向の料理を供する店が増えた1年だった。
『角のうぐいす』『酒処あかり』『けごむす』など、すでに居酒屋を経営している店舗が新業態として「大衆酒場」や「立ち呑み」を開店。『ヤキニクコウシ』を筆頭に、本店をよりカジュアルにした姉妹店も多数登場した。大衆酒場ブームの流れを汲み、リーズナブルに多彩な味わいを楽しめるサワーやチューハイも流行。
また、「関東、関西勢の進出」も大変話題に。大企業でなく個人経営の繁盛店が福岡にやって来るのは今までは稀だった。進出店に共通するのは、福岡の飲食店経営者や街の熱気に魅力を感じ出店を決めたという点だ。 SNSの発達により、県境の壁を越え交流も盛んに。異なる地域や店の料理人が共同で行うイベント「コラボレーションディナー」もより盛んな年だった。
『(食)ましか』や『かしわビストロ バンバン』『やまちゃん 日本酒セルフ飲み放題』など、大企業ではない、個人経営の繁盛店が福岡へ進出し、飲食業界を賑わせた。店主自身が福岡へ移住し現場に立つなど、スタッフやゲストと密にコミュニケーションをとることで、福岡に根ざした店造りを展開し、人気を博している。
壁を越えるといえば、ラーメン業界、肉ブームにも変化が。豚骨ラーメン圧勝の時代は終わり、清湯スープの醤油や塩など、いわゆる淡麗系の「非豚骨ラーメン」が話題に。『地鶏らーめん はや川』など東京に負けないクオリティの店が登場し、本格的に市民権を獲得している。
『地鶏らーめん はや川』や正統派中華そばが味わえる『寿限無』の登場が火付け役となり、非豚骨と呼ばれる清湯スープの醤油や塩ラーメン人気が加速。福岡空港にオープンした『ラーメン滑走路』も、9店舗中4店は非豚骨。『博多辛そば SADAKANE』など、担々麺とは一線を画す「辛麺」を看板にする店も増えた。
また、肉ブームは牛圧勝の壁を越え、全国的にも「鶏」が注目された年。福岡でも『村崎炊鳥研究所』を筆頭に、リーズナブルで旨味がしっかりと詰まった「鶏料理」の人気が高まった。
酉年がさらなる肉ブームを牽引!?その年の日本の世相を反映し象徴する「ぐるなび総研」の「2017年今年の一皿 」に「鶏むね肉料理」が選ばれるなど、ヘルシーで手頃な鶏料理が全国的に注目された。福岡では「炊鳥」「もも焼き」「かしわ焼き」など、焼鳥以外の鶏料理を看板とする店も登場し、評判を呼んでいる。
列挙した傾向やキーワードは、2018年にさらなる展開が期待できるはず。動向に注目しながら、今年も豊かな外食ライフを満喫していただきたい。
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