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練りもの道

練りもの道 NO NERIMONO, NO LIFE

地味だが旨い。なぜだか旨い。主役じゃないけど欠かせない。
気がつけばそばにいる。それが「練りもの」。
いざゆかん、旨い練りもの探しの旅へ!

取材/謎のアジア人 文/前田健志 撮影/鍋田広一


山口から九州へ
“練りものロード”を南下していきます。

師範
謎のアジア人

FM福岡のラジオパーソナリティにして、日本さかな検定の資格を持つなど食への造詣は深く、大の練りものマニアでもある。本人曰く「“練りものソムリエ”があれば即取得したい」。

BUTCH COUNTDOWN RADIO
ON AIR 金 13:30-19:00 名物コーナー「ザ・メシュラン」「メシュラングルメ研究所」などを担当

日本有数のかまぼこ王国山口で、名人と出会う

記念すべき練りもの道の第一歩は山口県へ。ここにかまぼこ名人・ 友原和夫さんがいると聞いてやってきた。
かまぼこという名は、竹に魚のすり身を巻いて焼いたものが「蒲(がま)の穂」に似ていることに由来する。その歴史は古くて、永久3年(1115年)の文献が最古のもの。その1115年にちなんで、11月15日は「蒲鉾の日」になっているそうだ。

「かまぼこの種類は本当にたくさん。蒸したり焼いたり、揚げたり。使う魚もエソやタラ、ハモ、グチ(イシモチ)などさまざまですし、産地だって山口県だけでも、下関、仙崎、防府、宇部、萩といくつもあります。日本各地にそれぞれのかまぼこが根付いていますよ」と友原さん。
むむむ、全国にはまだ見ぬかまぼこが待っている。

この人に話を聞きました
友原和夫さん

国内第1号の1級水産練り製品製造技能士のほか、厚生労働省、山口県、宇部市それぞれの「ものづくりマイスター」に認定された、まさにかまぼこ名人。

さて、今日は友原さんがオススメのかまぼこを持ってきてくれた。どうやって食べるかって?そりゃもちろん、良いかまぼこは“刺身”にするのが、我が練りもの道。
山口県のかまぼこといえば、伝統的な“焼き抜き”。すり身を板に乗せて低温でじっくり焼き、歯応えがいい。

伝統的な焼き抜き製法。すり身を板に乗せ、低温でじっくりと火を通す。

「浜千鳥」、これ旨いね!エソ100%で旨味が強いのにクセがない。「新川」は蒸しかまぼこだけど、足(業界用語で弾力のこと)は焼き抜きにひけをとらない。今回10種類以上を食べ比べて同じ山口県の中でも全然味が違うから面白い。
しかも、どれも旨いし、まさに職人技。クラフトビールならぬ“クラフトかまぼこ”と呼ぶことにしよう。いやはや、山口県だけでもこの奥深さ。練りもの道は一日にしてならず!

取材中「これ旨いね!」と師範が感動した『大和蒲鉾』の「浜千鳥」(756円)。「“足”がきいていて、手作りらしい旨さがある」と大絶賛。
師範がこよなく愛する麦わら巻きの蒸しかまぼこ「新川」(648円)。ほどよい歯応えで、甘味があって上品。
焼き抜きかまぼこの元祖と言われる『忠小兵衛』の特選焼き抜き蒲鉾「忠小兵衛」(540円)。
友原さんも開発に携わった『宇部かま』の「けずりかまぼこ」(540円)。「うどんにかけるだけで旨い」by師範。
師範がコスパ高!と豪語する『宇部かま』の「吟撰蒲さし」(388円)。こちらの原料はスケソウダラ。「タラって明太子もとれてすごいヤツ」
良い焼き抜きのかまぼこには表面に「ちりめんじわ」ができる。美味しいものを選ぶ際の目安になるそうだ。

友原さん曰く、“刺身”で食べるなら、少し高めでも良いかまぼこを選びたい。だが、おでんなどの具として使うなら、デンプンなど“つなぎ”の多い安いかまぼこの方がダシを吸って美味しいらしい。使い分けが肝心!

ソワニエ+ vol.49 2018年5・6月号より