vol.14
やわらかな甘みは滋味深く、ミネラルもたっぷり。
江戸時代から伝わる伝統と技を守り抜いた、幻のサトウキビの物語。
澄みわたる青空のもと、天高くそびえる穂が風に揺れる…。南国のイメージが強いサトウキビ畑の風景だが、実はサトウキビが朝倉地域でも生産されているのをご存じだろうか。歴史を紐解けば江戸時代。秋月藩への献上品として生産が始められ、明治以降も各家庭で自宅用につくられるほど、この地域には身近な存在だったそう。白砂糖の普及により一度は途絶えたものの、地元の人々の思いを受け、昭和50年代に再び復活を果たした“幻の砂糖” だ。
現在生産するのは「三奈木砂糖研究会」。収穫は11月初旬で、およそ3メートルにも伸びた高さから、カマで1本ずつ葉を落とす作業は重労働だ。さらに大変なのが、薪釜で煮詰めていく製糖作業。
圧搾機で搾り出した汁を沈殿させて不純物を取り除き、釜で煮詰める工程を一昼夜かけて繰り返す。決して効率化に走らないのは、伝統を守り、つなぐため。栽培にも農薬や化学肥料を使用しないなど、地域や文化への誇りが感じられる。
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