|連載|
大人が愛する店
心から信頼し、尊敬でき、好きだと思える友人は、
人生を通じてきっと数えるくらいしかいない。
そんな風に思える相手と出逢い、語らえる
憩いの場を見つけたとき、人は太陽のような笑顔になる。
取材・文/三浦翠 撮影/坂口裕登
|第十回|
バンカヨコ × 春吉バル CLUTCH
ラジオで何かを伝えるときも、一人の役者として。
その気持ちは昔も今も変わりません。
陽が落ちた空間に紅をさす、一輪のバラ。真っ赤な衣装で微笑むバンカヨコさんを目にしていると、浮かんだ風景だ。甘さに艶っぽさが混じり、ほのかにハスキーな独特の声色。華やかなのに綿菓子のような儚さをもち、凛とした姿に、思わず目が奪われるー。
幼稚園でお遊戯をするのも、決められた時間に授業を受けるのも、周りと同じ制服を身につけるのも苦手。いわゆる「人と同じ物事」 に疑問と抵抗をもつ素質を備えて いた。身体が弱く喘息を患ってい たことから、中学校で選んだのが 演劇部。芝居が人生に光を灯し、自分らしい生き方を見つけられた。
芝居を突き詰めるため、5歳のとき、新聞広告で目にした「劇団夢工房」へ。役者として舞台を踏み、劇団を通じて高校生の頃から公演やラジオドラマ、ショーで MCやナレーションを経験するように。やがて高校を卒業してから、本格的にテレビやラジオへ出演するようになっていく。
続きは本誌で
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