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ここでしか味わえない、専門店のジビエ料理

豚・牛・鶏肉にはないコクと風味のジビエ料理。
福岡市内でも、料理人たちがその魅力を感知し、テクニックを磨いて日々チャレンジしている。

情熱の千鳥足 カルネ

住所:福岡市中央区西中洲10-6 ラビリンスビル1F
TEL:092-733-6100
営業時間:18:00~翌1:00
定休日:不定
席数:36席
MENU:ジビエのメンチカツ702円、ジビエのラグーパスタ1620円、自家製ハム、サラミ盛り合わせ1404円

福岡のジビエといえばここ。
女性シェフ参入でさらにバージョンアップ!

3年前に、海外経験も豊富な小野貴史シェフが繰り出すジビエ料理の店としてオープンした西中洲の『カルネ』。この夏、女性のスーシェフ舟木慧さんが入り、メニューの幅が広がったと評判だ。「タカクラホテル」で10年以上経験を積み、国内外の料理コンクールでも入賞経験を持つ舟木さん。その腕を買われて"ハンティング"された。小柄な体に秘めた料理への情熱にますます拍車がかかる。
「しっかりした野生の風味を求める方と、食べやすい柔らかさを求める方。それぞれに応じられるよう、テクニックを磨くのも面白いです。ラグーやパテ・ド・カンパーニュには、モモや肩、首など部位を混ぜて食感も楽しめるようにしています。シカ肉のパイ包みは女性にも好評です」。今からの季節、赤ワインでじっくり煮込んだジビエも楽しみである。

「タカクラホテル」時代からジビエさばきの経験があった舟木さん。包丁の扱いも手慣れたもの。
ワインセラーでは自家製ソーセージが熟成中。
「猪の骨付き肉のロースト」(約100g)2160円。赤ワインもろみ、イチジクマスタード、塩で3つの味わいが楽しめる。
「シカとフォアグラのパイ包み焼き」2160円。シカ肉とフォアグラを、シカ肉ミンチで包み、さらにパイ生地で包んだ一皿。甘酸っぱいベリー系ソースと、濃厚なポルチーニ風味のフォンドボーが深みを増す。

MOMONJIYAモモンジヤ

住所:福岡市中央区赤坂1-11-20 8bitAKASAKA 302号
TEL:092-688-4717
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜
席数:16席
MENU:エゾ鹿のロースト1450円、馬肉のカルパッチョ1250円、豚もものツナ風サラダ650円

幼い頃の食体験が原点、ニューオープンのジビエ店

店主の金子勝さんは、里山豊かな那珂川町育ちで、親戚が獲ったイノシシを味噌煮などでよく食べていた。「ただ、素人料理だけに"固い!"というイメージが強かったです。自分で出すならもっと美味しく作りたいと思っていました」
飲食業界に入ってからは、将来の独立を見据えて狩猟免許を取り、精肉店にも勤めて処理やさばき方を学んだ。
そしてこの夏、いよいよ自身の店を開業。昼間に自分で撃ってきたり知人から仕入れたイノシシやカモ、アナグマ、ヒヨドリなどを調理する。メニューには洋風に柔らかく煮込んだポトフや、自家製猪ソーセージ、コンフィ、燻製、山賊鍋など。ジビエによく合うドイツの蜂蜜ワインも、ぜひ味わってほしい。

イノシシを、大根やニンジン、ネギなどの根菜類と甘辛い醤油味で炊く「山賊鍋」(1250円)。体が温まり、肉の旨味が野菜にも移って、汁まで飲みたい美味しさに。写真は1人前。
イノシシバラやソーセージ、豚タンなどをじっくり煮込んだ「洋風肉々おでん」は単品150円~600円。サルサヴェルデやマスタードをつけて。

博多奥堂はかたおくのどう

住所:福岡市博多区御供所町5-29
TEL:092-291-6511
営業時間:17:00~OS23:30
定休日:日祝日
席数:70席
MENU:エゾ鹿のユッケ1200円、合鴨のしゃぶしゃぶ1人前2500円、鴨だしモツ鍋1人前850円

ハンターならではの厳選の野性味を味わいたい

本誌(P50)でも紹介したオーナーの野村さんは、「福岡有害鳥獣対策猟友会」の代表でもある。30年近い狩猟キャリアだけに、仕留めた獲物の処理は完璧。肉の旨味を損なわないよう、最大限に引き出す。そのプロの味を求めて、博多座出演の歌舞伎俳優も訪れるなど、遠方からのお客も絶えない。
昔ながらの趣きあふれる博多町屋の店内でいただく料理は、猪のしゃぶしゃぶやエゾ鹿のユッケ、鹿の燻製、鴨のしゃぶしゃぶなど。値段も手ごろなのがうれしい。厨房では、野村さんの薫陶を受けた長男が腕を振るう。「捕獲状況もあるし、ちょうどいい熟成時間に合わせて提供したい」と野村さん。美味しくいただくためにも、3日以上前の予約が望ましい。

肉の熟成度合いも最高の「鹿の燻製」。もっちりした食感が日本酒に最適。5000円からのコースにつく。
昔から牡丹に例えられる猪をふんだんに使った「猪しゃぶ」は1人前3800円から(要予約・写真は2人前)。コース料理のメインとしてもオーダーできる。
ソワニエ vol.46 2017年11・12月号より