生ハムを店で注文する時に、それがどこで作られ何という名前か意識していますか?
スーパーや専門店で購入する時に、その原料がどんな豚で何カ月熟成か確認していますか?
意外と知らない生ハムの知識や、現在福岡で美味しい生ハムが購入出来るショップ、ワインや料理と共に愉しめる飲食店をご紹介いたします。
生ハムはヨーロッパにおける伝統的保存食だ。日本で馴染みが深いのはイタリア産とスペイン産で、イタリア産「プロシュット・ディ・パルマ」とスペイン産「ハモン・セラーノ」は、中国の「金華ハム」と並んで世界3大ハムに数えられる名品である。ウンチクはともかく、では生ハムとは何かとなると、一言で言うなら「製造の過程で一度も加熱していないハム」のこと。塩漬けして乾燥・熟成するものと冷燻(20℃以下の低温で燻製)するものの2種に大別される。燻製があるなしのほか、豚の種、肉の部位、熟成の期間でも味や香りが変わる。そのため"おらが村の名産ハム"がヨーロッパ全土に点在する。生ハムは我々がイメージするよりはるかに種類が豊富で、多彩な味わいを持つ食べ物なのだ。
常時30種類近くを販売する生ハム専門店「サルメリアラボ」の野村嘉之さんは言う。 「香辛料の使い方にも地域差があります。イタリア語のプロシュットとスペイン語のハモンは、どちらも"もも肉の生ハム"を意味しますが、プロシュットが豚肉と塩だけで作るのに比べ、ハモンは香辛料を加える。好き嫌いは別として、ハモンの方が味と香りを濃く感じますね」 プロシュットがもも肉なら、イタリア語で肩ロースの生ハムはコッパ、臀部がクラテッロ、バラ肉はパンチェッタ、頰肉がグアンチャーレ、背脂はラルドだ。名称だけでもこんなに多彩。しかし、背脂の生ハムってどうやって食すのか?「焼いたパンに乗せ熱で脂がとろけたところをパクッといくのが最高です」と野村さん。
脂の状態は生ハムをどう食べるかの指針になる。 「パンチェッタは脂にコクがあるのでサンドイッチやバゲットに乗せて。エビに巻いてソテーもいい。プロシュットなど赤みの強いタイプは火を入れない料理に。ピザの上に散らしたりペペロンチーノに乗せたり。ミネストローネなどのダシにも有効。アミノ酸の塊ですからすごく味はでます。」 ただし、生ハムのおいしさは切った瞬間にある、と野村さん。 「レストランで前菜として登場する理由は、切ったその時に料理として完成してるから。もちろん切り方は重要で、それぞれの生ハムにふさわしい厚さがあります」 その厚さに切り分けてくれる店を選ぶこと、それが生ハムを美味しく味わうコツとなる。
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