心惹かれる器を手にすれば、わきおこるのは料理への豊かな想像力。
自分自身が愉しくありたい。その気持ちこそが明日へと進ませてくれる力の源だ。
取材・文/三浦翠 撮影/勝村祐紀、武井メグミ、平川雄一朗
うつわ料理 さ乃
もとは蚊取り線香を入れるものとして作られた器も、佐野純子さんの手にかかれば途端に料理との取り合わせの妙が光る粋な一品になる。「どんなものにも固定観念を持ってはだめですね。作家さんと接する中で教えてもらいました」。手先の器用な父と染色家の母のもとに生まれ、小さい頃から食への興味が人一倍強かった佐野さん。料理を一生の仕事にしようと決めたのは33歳の時だ。「40年ほど前なので、今みたいに自立して働く女性が認められる時代ではありませんでした。でも興味のある仕事で生きたいと思った時、これしかなかったんです」。
久留米の店で茶懐石を学んだ後、自宅の古民家を店にして知人へ案内状を出したのが始まり。精進料理、コース、ワンプレート、弁当、配達。無我夢中で働き、肉体的にはきつかったものの、精神的な辛さは全くなかったという。
うつわ料理 さ乃
住所:朝倉市楢原125
TEL:0946-22-3339(要予約)
営業時間:12:00〜16:00(食事は12:00一斉スタート)
定休日:火〜金曜(土〜月曜のみの営業)
席数:18席(1日3組限定)
クレジットカード:不可
QRコード決済:不可
喫煙:禁煙
駐車場:5台
コース13200円のみ
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