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海と魚と温泉と。

海と魚と温泉と。

温泉天国九州は、豊かな漁場に囲まれた魚天国でもある。潮風を受けながら海を眺められる温泉に浸り、漁村や港に水揚げされた新鮮な海の幸に舌鼓を打つ。これを「極楽」と言わずに入られようか? 取材・文/江月義憲 撮影/森寛一

島風を感じながら極上のひと時を

江戸時代、海外との貿易拠点として栄えた長崎港の入口に浮かぶ伊王島は、日本初の洋式灯台が建てられるなど、海上交通の要衝だった。かつては長崎港大波止から旅客船のみで結ばれていたが、2011年に伊王島大橋が開通して、アクセスが格段に良くなった。ホテルやコテージなどを擁するリゾート施設「やすらぎ 伊王島」に併設する『島風の湯』は、地下1180mから湧き出す自家源泉の天然温泉。男女ともに幅18mの展望露天風呂からは長崎の海を一望でき、開放感はバツグン。湯上がりに地元の魚料理が食べられる「網元食堂」もある。

内湯、露天風呂、サウナを完備した貸切風呂では、広いソファで横になれる。
島風の湯【住所】長崎県長崎市伊王島町1-3278-3 【TEL】095-898-2000 【露天風呂付大浴場】9:00〜最終受付22:30、大人800円(土・日祝日1000円)、小人500円(土・日祝日700円) 【貸切風呂】9:00〜最終受付22:00、1室2990円(60分)(土・日祝日3990円)

地魚のうまさを骨まで味わえる寿司割烹

全国第2位という海岸線の長さを誇る長崎県。五島灘や対馬沖、内海の有明海で獲れる魚の種類は日本一といわれ、まさに海の幸の宝庫である。そんな長崎の地魚を存分に堪能できるのが、思案橋近くにある『松ふじ』だ。
ネタケースには白身、赤身、青魚に甲殻類や貝類がズラリと並び、「サーモン以外はすべて長崎産」という。さらにスエヒロやサエズリ、ベーコンなど希少な鯨の切り身も揃い、南蛮漬けやブリ大根、ブリの真子など大皿料理の種類も豊富で、何を注文するか真剣に悩むほど。こんな魚が日常的に食べらる長崎市民が、心底羨ましい。

「刺身盛り合わせ」(1620円〜)は驚くほどボリューム。「長崎鉄火巻き」(648円)はマグロではなくヒラスを巻く。
松ふじ【住所】長崎県長崎市本石灰町3-13 【TEL】095-823-9026 【営業時間】18:00〜24:00 【定休日】月曜 【席数】30席 【MENU】すりみ揚げ540円、甘鯛みそ焼1080円、くじら盛合せ2160円、中にぎり1080円

有明海の恵み、竹崎カニを満喫

ガザミ(ワタリガニ)は全国に生息しているが、佐賀県太良町の有明海沿岸で獲れるものは「竹崎カニ」と呼ばれ、特に味がいいことで珍重されている。晩秋から初冬にかけて卵を甲羅の中に抱えたメスは格段に美味となり、春先まで続く。地元のカニ漁師が獲った竹崎カニを直接仕入れている『豊洋荘』の料理は、もちろんカニの姿煮がメイン。塩茹でというシンプルな調理法ながら、太良山系の地下水に天然塩を使って真っ赤に茹で上げられたカニは、有明海の恵みが凝縮された旨味が詰まっている。
竹崎カニを満喫した後は、露天風呂「十方空」でひとっ風呂。正面に有明海を望み、右手は雲仙、左手は佐賀まで見渡せる眺望に、身も心も満足できる割烹温泉旅館だ。

前菜のタコ、エビ、タイラギも有明産。写真は「竹崎かにコース」(6480円)の一例。
【内湯】11:30〜16:00、1名500円
【貸切露天風呂】11:30〜16:00、1室2500円(50分)
星降る露天とかにまぶし豊洋荘【住所】佐賀県藤津郡太良町大浦丙1099-5 【TEL】0954-68-3545 【営業時間】食事処 11:30〜15:00 【定休日】不定 【席数】70席 【MENU】竹崎かにコース5940円〜、かにまぶし(茶碗蒸し・デザート2種付)2916円

有明海沿いに多彩な温泉が揃う

佐賀県の最南端に位置する太良町は、穏やかな有明海に面した風光明媚な土地柄。潮の干満差が日本一の最大6mもあることから、「月の引力が見える町」というキャッチフレーズがつけられている。この海沿いに湧く温泉の中でも、特に豊富な種類の風呂を擁するのが旅館「蟹御殿」の日帰り温泉施設『有明海の湯』。露天風呂や大浴場の他、貸切露天風呂が6棟、貸切半露天も2棟あるなど、様々なタイプの温泉が用意されている。

蟹御殿朝、昼、夜と時間ごとに表情を変える、露天風呂からの眺望。
【住所】佐賀県藤津郡太良町大浦乙316-3 【TEL】0954-68-2260 【露天風呂】12:00〜20:00、中学生以上500円、小学生300円、幼児200円 【貸切風呂】11:00〜22:00、1室1500円〜2000円(60分)

リゾートホテルの絶景露天風呂

日出町は大分県内でも屈指の名水の郷として知られ、町内各所に50カ所以上もの湧き水スポットが点在する。その名水が温泉として湧き出ているのが日出温泉。複合リゾート施設『スパ&リゾート ホテルソラージュ大分・日出』では、別府湾を一望できる露天風呂をはじめとする温泉が日帰り利用できる。
和洋2つの露天風呂は男女日替わりで、その他に打たせ湯やサウナ、ジェットバスなど種類も豊富。美肌やアトピーにも効果があるといわれる「バラ湯」(土曜日/女湯限定)は、心の底からリラックスすることができる女性だけのスペシャリティだ。

大浴場の他に、スチームミストサウナを備えた貸切風呂もある。
スパ&リゾート ホテルソラージュ大分・日出心地よい潮風を感じながら、別府湾を一望することができる。
【住所】大分県速見郡日出町大神7505 【TEL】0977-72-1800 【露天風呂付大浴場】平日11:00〜最終受付21:00、土・休前日11:00〜最終受付14:00、日祝日11:00〜最終受付20:00、大人(中学生以上)650円、小人(4歳以上)450円 【貸切風呂】平日11:00〜最終受付21:00、土・休前日11:00〜最終受付14:00、日祝日11:00〜最終受付20:00、1室2600円〜3000円(60分)

秋ならではの味覚、名残りのハモ

別府湾に面した国東半島のつけ根にある城下町・日出町。江戸時代には将軍に献上されたという「城下カレイ」で知られているが、カレイに勝るとも劣らない名物が、豊後水道で獲れるハモである。ハモといえば夏が旬だと思われがちだが、冬を前にしてたっぷりと脂が乗った「名残りハモ」は、秋に2回目の旬を迎える。
別府湾に面した日出城三の丸跡にあり、大分を代表する料亭の一つである『的山荘』でも、ハモは秋の懐石料理の献立に欠かせない食材の一つ。国の重要文化財にも指定されている大正初期に建てられた和風建築の一室で、秋ならではの味覚を堪能したい。

「ハモの南蛮漬け」(写真下)と「ハモの葛叩き梅肉添え」(写真中)。昼懐石の一例。
日出町 的山荘【住所】大分県速見郡日出町2663 【TEL】0977-72-2321 【営業時間】11:30〜OS14:00/17:30〜22:00(夜は要予約) 【定休日】なし 【席数】50席 【MENU】昼懐石3240円、豊後牛しゃぶしゃぶ懐石5400円(要予約)、季節の懐石10800円〜(要予約)
ソワニエ vol.45 2017年9・10月号より