第三十九回
福岡市中心部から車で1時間半ほどの、熊本県北部に位置する菊池市。
温泉にグルメ、豊かな自然に恵まれたこの地は、
いつ訪れても旅人を楽しませてくれる。
取材・文/瀨下和歌子 撮影/中西ゆき乃
避暑地や紅葉狩りで有名な「菊池渓谷」、県内屈指の桜の名所である「菊池神社」など、美しい自然が織りなす観光スポットに恵まれた菊池市。そんな菊池市の冬は、良泉で名高い菊池温泉をメインにしたまち巡りを楽しみたい。“美人の湯”と呼ばれるほどの名湯揃いで、旅館などの立ち寄り湯として「菊池神社」周辺を中心に多彩な温泉が点在する。また、「菊池市ふるさと創生市民広場」にある足湯も好評だ。
温泉で癒やされた後は、菊池産の食材を使った美味しい料理を召し上がれ。くまもと黒毛和牛「和王」や、「食味ランキング」で特Aランクを獲得し続けている「菊池米」、新鮮な地鶏は是非もの。地元の人が通う人気店も押さえておきたい。温泉とグルメを堪能する菊池市の旅で、お腹も心も満たされよう。
古い町並みが残る御所通りを散歩したあとは、無色透明のとろとろの湯に癒やされる。
国指定の登録有形文化財である欧風様式(ハーフティンバー)の建物を改装し、オーナーの髙木公康さんがカフェを始めて3年目になる。「祖父が設計からこだわったこの建物を、皆さんにも楽しんでもらえたら嬉しい」と、当時の梁や天井、精巧な装飾などをできるだけ残し、アンティーク家具も修繕して蘇らせた。重厚感のある扉を開けると、煌めくシャンデリアの似合う空間が異国情緒へと誘う。そんな店内でいただけるのは、地元産の食材で作るランチとスイーツ。スタッフの迫富美子さんが焙煎から手がけるコーヒーや、上品な台湾紅茶も癒やしのひと時に寄り添う。
緑に抱かれた里山で囲炉裏を囲み、旨味たっぷりの地鶏や名物料理に舌鼓を打つ。
今年で2周年を迎えた、熊本県産の多彩な地鶏を炭火焼きで味わえる一軒。一番人気は、噛めば噛むほど旨味が感じられる「親鶏タレ焼き」だ。甘めの醤油に漬け込まれた肉を炭火で炙れば、香ばしいにおいが食欲をかき立てる。注文に迷った時は、「親鶏タレ焼き」「種鶏」「天草大王」の3種類の鶏肉と、牛肉がいただける「満腹定食」(3400円)をオーダーしたい。定食メニューには「菊池米」のご飯と、郷土料理「のっぺい汁」も付く。気の置けないメンバーで囲炉裏を囲めば、忘れられない旅の一場面になるだろう。