第三十八回
福岡県の穀倉地帯である、筑後エリアを代表する町・久留米。
今回は西鉄久留米駅を起点に、賑やかな商店街や昭和通りなど、
JR久留米駅まで続く約2kmの道のりを、ぶらり、気ままに散策。
取材・文/瀨下和歌子 撮影/平川雄一朗
西鉄福岡(天神)駅から特急で約30分、今年10月に駅ビルのリニューアルを終えたばかりの真新しい西鉄久留米駅に到着した。贔屓のラーメン屋や焼き鳥店もいいが、たまには気の向くままに町中を歩いてみるのもいい。
まずは、新旧店が連なる一番街、六ツ門商店街あたりをぶらり。アーケードから逸れた日吉市場や「くれない小路」などの小道には、知る人ぞ知る隠れた名店も暖簾を掲げる。次は明治通りを通って昭和通りへ。見落としてしまいそうな古いビルの中に、スイーツや雑貨の店がちらほら。ふらりと入った居酒屋や角打ち店で、早い時間から地酒を嗜むのも電車旅ならではの楽しみ方だ。歩くからこそ出合えるディープな魅力に、一層この町が好きになる。
地元の人に尋ねると、必ず出てくるその店名。
一度足を運べば、あなたもきっと虜に。
香ばしい珈琲の香りに包まれた、1978年創業の老舗喫茶店。まずは、創業時から変わらないサイフォン式で淹れる「しのはらブレンドコーヒー」をオーダーしたい。二代目の篠原裕典さんは、「食事と共に楽しむ、喫茶店らしいバランスの良い味を守り続けています」と焙煎も手がける。そして、久留米市内の多様な店のケーキが味わえるのも魅力の一つ。提携する7軒のケーキ店の中から、日替わりで3軒のケーキがショーケースを彩る。
訪れるたびに出合いがある、手仕事品を揃える2軒。
輸入家具・雑貨、手仕事品などを揃える『JUN』。実は創業70年を超える畳店「大香」の姉妹店で、畳の端布や縁の余りなどで作る「豆畳」「飾り台」「ござ」などのオリジナル商品も販売している。「最近はシックな色合いのものが人気です」と店主の大渕順子さん。店に置く家具や雑貨も、畳のある和の空間に馴染むものにこだわっているそう。ついつい長居してしまう一軒だ。