第三十七回
福岡県の東部に位置する『豊前市』。
今回は豊かな自然やレトロな町並み溶け込む、とっておきの穴場スポットをピックアップ。
取材・文/瀨下和歌子 撮影/武井メグミ
ハモや牡蠣、豊前本ガニなどの海の幸に恵まれた豊前海や、修験山で知られる求菩提山などの美しい自然を有する『豊前市』。昨今は、巨大な机と椅子のオブジェが立つ「もみじ学舎」が、写真映えスポットとして人気を集めている。福岡市内から少し遠いイメージのある町だが、実は東九州自動車道を利用すれば車で1時間半ほどで日帰りも可能だ。
そんな『豊前市』には、まだまだ本誌未開拓のスポットが多数。山裾に佇む蕎麦とパンのハイブリッド店や、老舗料理店が手がける温泉宿、洗練されたインテリア雑貨を販売する店など、知る人ぞ知る穴場店に心ときめく。また、9月から翌3月頃まで市内の各神社や道の駅で行われる「豊前神楽」も必見。寒さを忘れさせる、熱い舞が披露される。せっかくなら、公演の日程に合わせて出かけてみてはいかが。
野山に抱かれた長閑な景色の中で味わう良質な地下水を使った蕎麦とパン
風光明媚な求菩提山の麓にある、岩岳川沿いに佇む。この地の自然に魅せられ、故岩田郁生さんが、良質な地下水を生かした蕎麦とパンの店を始めたのは23年前のこと。現在は妻・法子さん、次男・愼平さん、長女・みおさん、次女・ゆいさんの家族総出で、郁生さんのレシピを受け継いでいる。
セットメニューを頼むと、まず登場するのが3種類の焼きたてパン。水、小麦、塩、ドライフルーツなどのシンプルな材料で作り上げられており、香ばしさと粘り気が絶妙だ。そんなパンと不思議とマッチするのが、北海道産の蕎麦粉を使う二八の更科蕎麦。甘めのつゆのほか、ポルトガル産の塩、わさび、ネギなど、多彩な薬味で味の変化を楽しみたい。ボリューム満点なので、お腹を空かして訪店を。
お土産はもちろん、地元で話題の体験も紹介
150年以上の歴史を持つ、登録有形文化財に指定されている老舗の醤油屋。定番の人気商品は、地元らしい甘めの醤油や昔ながらの味噌のほか、福岡県産の麹で造る「にじいろ甘酒」。また、「醤油博士」の資格を持つ浦野敦子さんに教わる、味噌・塩麹・味噌玉づくり体験(3500円~※要予約)も好評だ。不定期開催のため、事前にHPなどで日程を確認の上、予約してから訪店したい。